しあわせになりたい
第1話
作 LynX
「あっ、おにーちゃーん!」
「−−−−−−−−−−。」
「?なに?おにーちゃん?きこえないよ?」
「−−−−−。−−−−。」
「え?なに?あ、おにーちゃん、どこいくのー?」
「−−−、−−−−。」
「おにーちゃーん。アタシをおいてかないでー。」
「−−−。」
「おにーちゃーん。エーン、エーン。」
ピピピピピピピピピ
「お兄ちゃ・・・。・・・ん?朝か・・・。」
またあの夢を見た。もう何回目だろう?
最近特にこの夢を見ることが多くなってきたような気がする。
この夢を見た朝はあまりすっきりしない。
でも、もう朝。学校に行かなくちゃ。
アタシはベッドから起きあがるとキッチンへ向かった。
そしてパンを2枚トースターに入れた。
そして大きくのびをした。
「うーーん。今日もいい天気ねぇ。」
ヒカリ 「おはよー、アスカ。」
アスカ 「おはよ、ヒカリ。」
ヒカリ 「アスカ、最近元気ないわね。ちゃんと寝てる?」
アスカ 「今日もあの夢でね・・・。」
ヒカリ 「大好きだったお兄ちゃんの夢?」
アスカ 「うん・・・。」
ヒカリ 「で、今日はそのお兄ちゃんの顔、出てきた?」
アスカ 「ううん・・・。」
ヒカリ 「そっか・・・。何か手がかりはないの?」
アスカ 「うーん。たぶんアタシが小さかった頃の記憶の
かけらだと思うんだけど・・・。」
ヒカリ 「じゃあ昔のアルバムとか探してみるってのは
どう?」
アスカ 「めんどくさいわねえ・・・。」
ヒカリ 「夢にうなされて眠れないよりはマシじゃない?
何なら私も一緒に探してあげましょうか?」
アスカ 「うーん。どうしよう。」
ヒカリ 「ね。決まり。ついでに夕食も作ってあげるから。」
アスカ 「わかったわ。」
ヒカリ 「なんか楽しみだなー。」
アスカ 「ヒカリ・・・『楽しみ』って・・・。」
ガラガラッ
ヒカリ 「あ、アスカ、先生よ。席に戻って。きりーつ。
・・・礼。着席。」
ミサト 「みなさん、おはよーう。そして喜びなさい。今日は
転校生を紹介するわよー。」
ワアアアアッ
ミサト 「男の子と女の子、1人ずつよ。さ、入りなさい。」
ガラガラッ
オオーッ
ミサト 「じゃ、自己紹介してちょうだい。」
カヲル 「札幌から来ました。渚カヲルです。みなさん仲良く
して下さい。よろしく。」
レイ 「沖縄から来た、綾波レイです。よろしく。」
ミサト 「はい、みんな、はくしゅー。」
ぱちぱちぱちぱち
ミサト 「じゃ、渚君はアスカの隣、綾波さんは鈴原君の隣に
座ってちょうだい」
カヲル 「はい。」
レイ 「はい。」
カヲル 「よろしく、アスカさん。」
アスカ 「あ、よろしく。」
カヲル 「良かったら君のフルネームを教えてもらえないかい?」
アスカ 「惣流・アスカ・ラングレーよ。」
カヲル 「へえ、ハーフなのかい?なるほど、美人だね。」
アスカ 「ありがと。でもアンタ、そんな台詞よく言えるわね。」
カヲル 「そうかい?僕は思ったことを正直に言ったまでだよ。
これからもよろしく、アスカさん。」
アスカ 「はいはい。授業始まるわよ?」
カヲル 「おっと。それになんか注目されてるみたいだね。」
アスカ 「アンタがうるさいからよ・・・。」
カヲル 「ん?何?アスカさん?」
アスカ 「何でもないわよ・・・。」
はぁ。災難ね。
どうしてこんなナルシスっぽい奴が隣に来るのよ。
まったく、今日はついてないわ・・・。
キーンコーンカーンコーン・・・
アスカ 「はあ、授業も終わったわ。ヒカリー?」
カヲル 「アスカさん、一緒に帰らないかい?」
アスカ 「はあ?何でアタシがアンタと?」
カヲル 「この辺を案内してもらえたらうれしいんだけどな。」
アスカ 「おあいにくさま。今日は大事な用があるのよ。
アンタを案内したい子ならたくさんいそうよ?」
カヲル 「それは残念だね。大事な用ってなんだい?」
アスカ 「アンタには関係ないことよ。ヒカリィー!」
ヒカリ 「はぁ、おまたせ。行きましょ。それじゃ渚君、またね。」
アスカ 「早く、行くわよ。」
ヒカリ 「あ、アスカ、待ってよー。」
カヲル 「・・・うーん。好みだ。」
ガチャッ
アスカ 「さ、入って。」
ヒカリ 「おじゃましまーす。」
アスカ 「誰もいないんだから気にしないでね。」
ヒカリ 「アスカ、一人暮らしなのよね・・・。にしては
片づいてるわね。」
アスカ 「これぐらい、当然よ・・・。」
ヒカリ 「さみしくない?」
アスカ 「もう・・・慣れたわ・・・。」
そう、アタシは今この家に一人で暮らしている。
アタシのママはアタシがまだ小さい頃に死んだ。
その数年後にパパは別の女の人と再婚した。
でもこの人は好きになれなかった。
あの人達と一緒にいてもひとりぼっちだった。
アタシは日本に留学することにした。
あの人達はまるで反対しなかった。
アタシもあの人達と離れたかった。
寂しくないと言えばウソになる。
でもあっちよりはマシ。
こうやってヒカリや他の友達と一緒にいた方が何倍もいい。
アスカ 「ヒカリ、ありがと。」
ヒカリ 「え?なんか言った?」
アスカ 「なんでもないわ。それより例の作業、始めましょ。」
ヒカリ 「うん。」
・・・・・・
ヒカリ 「ねえねえ、この写真、アスカでしょ?」
アスカ 「ん?あ、そうね。」
ヒカリ 「かわいいわね〜。アスカにもこんな頃があったのね〜。」
アスカ 「ちょっと、どういうこと?それじゃあ今のアタシは
かわいくないように聞こえるけど?」
ヒカリ 「や、やあねえ、今はこの写真とは別の『かわいさ』が
あるじゃない。」
アスカ 「そういうことにしときましょうか・・・。」
ヒカリ 「あ、アスカ、これ誰?」
アスカ 「それはアタシのママよ。」
ヒカリ 「へ〜、きれいな女性ね〜。」
アスカ 「アタシのママだもの。」
ヒカリ 「この血を引いてるからアスカも美人なのね。」
アスカ 「やっぱり?分かる人には分かるのねぇ。」
ヒカリ 「性格は誰に似たのかしら・・・。」
アスカ 「何か言った?ヒカリ?」
ヒカリ 「え?べ、別に何でもないわよ。ハハハ・・・。」
・・・・・・
ヒカリ 「うーん、手がかりらしきものはなかったわねえ。」
アスカ 「そうねえ・・・。」
ヒカリ 「他にはないの?あ、この小さい箱は?」
アスカ 「あ、それはたぶんママの形見だと思うわ。こんな
ところにあったのね。見てみる?」
ヒカリ 「うん。」
箱の中にあったのはママの形見の指輪。
ママがまだ生きていた頃にアタシにくれたものだ。
ルビーだろうか、赤い宝石があしらわれている。
ヒカリ 「きれいねえ。」
アスカ 「そうね・・・。」
ヒカリ 「ね、アスカ、これはめてみて・・・どうしたの?」
アスカ 「あ、ごめん。ちょっとママを思い出したら涙が
でてきちゃった・・・。カッコ悪いわね・・・。」
ヒカリ 「ごめんね・・・思い出させちゃって。」
アスカ 「いいのよ・・・。この指輪は大事にしまっておくわ。」
ヒカリ 「そうね、それがいいわ。あ、もうこんな時間。
たいへん。ごはんつくらなきゃ。」
アスカ 「あ、アタシも手伝うわ。」
・・・・・・
ヒカリ 「それじゃ、帰るわね。」
アスカ 「うん。ありがと。」
ヒカリ 「結局私、何の役にも立ってないわね・・・。」
アスカ 「そんな。夕食、おいしかったわよ。」
ヒカリ 「そっちじゃなくて。アスカ、今夜もまたあの夢
見るかしら?」
アスカ 「うーん。わからないわね。でも、しょうがないわ。」
ヒカリ 「そうね・・・。それじゃ、また明日。」
アスカ 「送って行かなくて大丈夫?」
ヒカリ 「すぐそこだから大丈夫よ。じゃあね。おやすみ。」
アスカ 「気を付けてね。おやすみ。」
バタン
・・・・・・
「ふぁ〜あ。そろそろ寝ようかしら。」
アタシは見ていたテレビを消して自分の部屋に向かった。
今日もまたあの夢を見るのかしら。
そこでアタシは机の上にあるものに気づいた。
さっき見つけたママの指輪だ。
箱を開けて指輪を取り出してみた。
ベッドに座ってその指輪を眺めてみる。
アタシがママについて覚えていることはとても少ない。
ママが死んだときのこともあまりはっきりと覚えていない。
ママ・・・どうして死んじゃったの・・・?
また泣いてしまいそうになった。
涙が出そうになるのをぐっとこらえる。
「アスカは強い子になるんだよ。」
そういえば昔誰かに言われた。ママじゃない。誰だろう・・・?
アタシは指輪をはめてみることにした。
右手の薬指へ。驚くほどぴったりだ。
「美女には美しいものが似合うわね。」
なんて言ったりして。
その時だった。
指輪からまばゆいばかりの光があふれてきた。
アタシは思わず目をつぶった。
そしてしばらくして目を開けると。
・・・ 「ひさしぶり。おぼえているかな?」
バチーン
・・・ 「い、痛いなあ。何するんだよ、いきなり。」
アスカ 「アンタ、いつの間に部屋に入ってきたの?とっとと
出ていかないとひどい目に遭うわよ?」
・・・ 「ちょ、ちょっと待ってよ。」
アスカ 「うるさいわね。次はビンタぐらいじゃすまないわよ?」
・・・ 「ちょっと、覚えてないの?」
アスカ 「は?何訳の分かんないこと言ってんの?」
シンジ 「僕だよ、シンジだよ。」
アスカ 「は?誰?知らないわよ、アンタなんか。」
シンジ 「はあ。まだ小さい頃だったしなあ・・・。」
アスカ 「どういうことよ。説明しなさいよ。追い出すのは
待ってあげるから。」
シンジ 「はあ。よく聞いてね・・・。」
・・・・・・
アスカ 「要するに、アンタ、人間じゃないのね?」
シンジ 「そう。さっきも言ったように僕は指輪の精霊だよ。」
アスカ 「で、何でアタシを知ってんの?」
シンジ 「昔、君のお母さんに仕えていたからだよ。」
アスカ 「それじゃ、どうしてここにきたのよ?」
シンジ 「それは君に呼び出されたから。それに・・・。」
アスカ 「それに?」
シンジ 「それに君のお母さん、キョウコさんの願いでも
あるから・・・。」
アスカ 「ママの・・・願い?」
シンジ 「そう。君を、アスカちゃんを幸せにしてやって
くれって。」
アスカ 「ふーん。で、どうすんの?」
シンジ 「は?どうするって?」
アスカ 「アタシを幸せにするって具体的にはどうすんのよ?」
シンジ 「えーと・・・。」
アスカ 「頼りないわねえ。いったい何ができるのよ?」
シンジ 「うーんと・・・魔法を少し・・・あとは家事とか・・・。」
アスカ 「はあ・・・。」
シンジ 「どうしたの?」
アスカ 「別にいいわ・・・。」
シンジ 「へ?」
アスカ 「帰っていいって言ってるのよ。どうせママを
生き返らせてくれって言っても無理なんでしょ?」
シンジ 「う、うん・・・。」
アスカ 「じゃあいいわ。アタシは十分に幸せだから。」
シンジ 「え、でも・・・。」
アスカ 「うるさいわね。アンタ、アタシに呼び出されたって
ことはアタシの命令には従うのよね?」
シンジ 「う、うん・・・でも・・・。」
アスカ 「じゃあ戻りなさい。」
シンジ 「う・・・分かったよ・・・。」
そう言ってシンジはおとなしく指輪の中に戻った。
ふう。とんだおせっかいね。
ママもママよ。アタシの幸せを願うんだったら死なないでよ・・・。
ママ・・・・。
「おにーちゃーん、シンジおにーちゃーん。」
「ごめんね、アスカちゃん。お別れだ。」
「おにーちゃん、どこいくのー?」
「ごめんね。いつかまた戻ってくるから。」
「おにーちゃーん、行っちゃやだー!」
「ばいばい、アスカちゃん。」
「おにーちゃーん。エーンエーン。」
ピピピピピピピピ・・・
「う・・・ん?朝?寝ちゃったのか・・・。シンジ・・・
お兄ちゃん?ってアイツのこと?」
昨日のあれは何だったんだろう?
ひょっとしたらあれも夢だったのかもしれない。
幸せに・・・か。なれるもんならなってみたいもんだわ。
アタシはベッドを降りてキッチンへ向かった。
ん?誰かがいる。
シンジ 「あ、おはよう、アスカちゃん。」
アスカ 「あ・・・アンタ、何やってんのよ?」
シンジ 「何って、見ての通り、朝食の用意だよ。」
アスカ 「はあ?」
シンジ 「昨日、指輪の中に戻って僕なりに考えてみたんだ。
そして、僕ができる限りで君を幸せにしようと
思ったんだ。」
アスカ 「アンタねえ、アタシは十分幸せだって言ったでしょ?」
シンジ 「君はまだ幸せを知らない。今の状況を幸せなんだと
思いこませてるだけなんだ。」
アスカ 「ほう・・・アタシは幸せじゃないって?」
シンジ 「そう。だから僕が・・・。」
アスカ 「幸せにできるの・・・?」
シンジ 「いきなりは無理だけど、そのうち必ず。」
アスカ 「そう・・・。」
シンジ 「だめかな?」
アスカ 「・・・いいわ。」
シンジ 「え?」
アスカ 「幸せにできるならしてもらおうじゃないの。」
シンジ 「よかった。がんばるよ、アスカちゃん。」
アスカ 「でも、それはやめなさい。」
シンジ 「何を?」
アスカ 「その『ちゃん』付けよ!見たところアンタと
アタシ、そんなに年が違わないじゃない。」
シンジ 「でも僕は・・・。」
アスカ 「アタシがそうだって言ったらそうなの!だから
『ちゃん』付けはやめること!」
シンジ 「じゃあなんて呼ぶの?」
アスカ 「うーん・・・アスカでいいわ。」
シンジ 「え?いいの?」
アスカ 「元々ファーストネームだったじゃない。今さら
『惣流』もおかしいし。」
シンジ 「じゃあそうさせてもらうよ。」
アスカ 「それじゃ、早くごはん作って。」
シンジ 「うん!」
こいつが「おにいちゃん」ねえ・・・。
ま、いいか。
こうしてアタシと下僕(?)のシンジとの生活は始まった。
つづく
(筆者より)
いかがでしたか?LynXです。
新連載を始めました。
このお話はどんな方向に進むんでしょうね。
これからもよろしく。
感想お待ちしております。
LynXさん、本当にありがとうございました!!
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