しあわせになりたい

第2話
                                    作 LynX



アスカ 「ん、なかなかおいしいじゃない、この朝食。」

シンジ 「そりゃあね。昔から作ってるから。はい、おみそ汁。」

アスカ 「ありがと。そういえばアンタ、小さい頃のアタシも知ってるのよね?」

シンジ 「そうだよ。小さい頃からおみそ汁が好きだったね。ドイツでお味噌を探すの
     苦労したよ・・・。」

アスカ 「ってことはママのこともよく知ってるのよね?」

シンジ 「当たり前だよ。キョウコちゃん・・・じゃなかった、キョウコさんが小さい頃
     からずっと一緒だったもの。」

アスカ 「じゃあ・・・ママがどうして死・・・。」

シンジ 「ほ、ほら、アスカ、早く食べないと冷めちゃうよ?」

アスカ 「え?あ、そ、そうね・・・。」

シンジ 「そういえばアスカ、朝早いんだね?」

アスカ 「はぁ?何言って・・・ってちょっと!8時10分過ぎてるじゃない!」

シンジ 「ん?そうだね。どうしたの?」

アスカ 「アンタバカァ?!学校に遅れるでしょうが!」

シンジ 「学校?ああ、大学か・・・。今日は何の研究?」

アスカ 「こ〜のバカシンジ!中学校に決まってるでしょうが!」

シンジ 「え?でもアスカ、大学はもう・・・。」

アスカ 「こっちはドイツとは違うのよ!ああ、もう15分!ごちそうさま!」

 バタバタバタ・・・
シンジ 「へえ・・・日本は大変だな・・・。」


アスカ 「いってきま〜す!!」

まったくアイツは・・・。
こんなので幸せになんかできるのかしら?
ああっ、今はこんなこと考えてる場合じゃないわ・・・。
とにかく走らないと・・・。


ヒカリ 「あ、アスカ、ギリギリね。どうしたの・・・?」

アスカ 「ハア、ハア・・・今は説明してる余裕もないわ・・・。」

カヲル 「おはよう、アスカさん。朝から大変そうだね。」

アスカ 「あ・・・アンタの顔見たら余計に疲れてきたわ・・・。」

カヲル 「それはご挨拶だね。あ、授業が始まるみたいだよ。」


教師  「今日は転入生を紹介する。入ってきなさい。」

 ザワザワ・・・ガラガラッ

 ゴン!
カヲル 「アスカさんどうしたんだい?机に頭突きなんかして?」

アスカ 「ア、アンタ・・・。」

シンジ 「あ、アスカ。間に合ったんだね。」

 ザワザワザワザワ・・・
教師  「オホン!君、自己紹介しなさい。」

シンジ 「はじめまして。碇シンジといいます。」

カヲル 「で、アスカさんとはどういう関係なんだい?」

シンジ 「え・と・・・君は?」

カヲル 「僕は昨日転校してきた渚カヲルだよ。よろしく。目がきれいなんだね。」

シンジ 「(ゾクッ)よ、よろしく・・・。」

教師  「そうだ、昨日転校してきたのは、彼と、彼女だ。綾波さん。」

レイ  「よろしく・・・。」

シンジ 「・・・よろしく。」

カヲル 「で、さっきの質問だけど。」

シンジ 「ああ、アスカの両親が僕のよく知ってるひとで、そのつてで一緒に
     住ませてもらうことになったんだ・・・。」

 ザワザワザワッ
カヲル 「へ、へえ・・・一緒に住んでるのかい・・・。」

シンジ 「君もレイと一緒に暮らしてるんだろ?」

カヲル 「ど、どうしてそれを?ま、まあ、君たちと似たようなものさ・・・。」

 ザワザワザワッ
教師  「おーい、そろそろ授業を始めるぞー。君は惣流さんの隣の席だ。」

シンジ 「アスカ、よろしく。」

はぁ・・・。にっこり笑ってるけどアンタねえ・・・。
また悩みの種が増えてきたじゃないのよ・・・。
でもどうしてアタシの後に出たはずなのに学校に・・・?
いや、それ以前にいつの間に手続きを済ませたのかしら・・・?
まあ、精霊なんだし、この際なんでもありかしら・・・。
にしてもいくつかひっかかることがあるわね・・・。


教師  「では次の部分を・・・碇くん。」

シンジ 「はい・・・。」

そうだ、授業中だったわ・・・。
シンジ、早速当たったけど、この先生の英語はイヤなのよね・・・。
何かにつけていちゃもんつけてくるというか、揚げ足取りがうまいのよね・・・。
ま、シンジのお手並み拝見てところかしら。

 ・・・・・・
教師  「はい、そこまでで結構。・・・文句の付けようがないですね。外国にいた
     ことがあるとは聞きましたが、さすがですね。」

シンジ 「ありがとうございます。今まであちこちに行ったことがあるもので。」

教師  「ほう。では英語だけではないとか?」

シンジ 「ええと、英語と日本語以外は、ドイツ語、フランス語、イタリア語、
     スペイン語、ポルトガル語、ギリシャ語、ロシア語、中国語くらいなら。
     あと、ラテン語も一応は。」

教師  「・・・私の教えることはなさそうですね・・・。」

クラスの賞賛の目がシンジに集まっているのが分かる。
さすがのアタシもこれにはかなわない。なんだか気に入らないわね・・・。

休み時間にはシンジの周りに人垣ができる。
シンジのところに行こうとしないのはアタシとヒカリ、そして転校生2人くらい。

ヒカリ 「彼、すごいわね・・・。尊敬しちゃうわ・・・。」

アスカ 「ふん。どうってことないわよ。」

ヒカリ 「どうしたの?同居人なんでしょ?あ、同棲かしら?」

アスカ 「ヒカリィ!アタシは好きで一緒に住んでるわけじゃないのよ?」

ヒカリ 「ま、まあ落ち着いて、アスカ。でも彼、いったいいつ来たの?」

アスカ 「え・・・?それは・・・。」

シンジ 「昨日は夜遅くになってごめんね、アスカ。」

アスカ 「え・・・?!」

声のした方向を見るとシンジがこっちを見て微笑んでいた。
同じ微笑みでもあのナルシスよりはマシね・・・。そんなに好きでもないけど。
     
シンジ 「洞木さんだよね?昨日洞木さんが帰った後に僕が着いたんだよ。」

ヒカリ 「あ、そうだったの。碇くん、委員長の洞木ヒカリです。よろしく。
     分からないことがあったら聞いてね。でも、勉強の方は碇くんの方に教えて
     もらいたいけどね。」

シンジ 「こちらこそ、よろしく。アスカと仲がいいんだね。」

ヒカリ 「そうなの。この間も・・・

そのままヒカリも話の輪に入っていった。
どうでもいいけどヒカリ、声のトーンが高くなってるわよ。
あんなののどこがいいのかしら、まったく・・・。

毎時間この調子だった。
授業では先生を絶句させ、休み時間には囲まれる。
アタシはなんだかおもしろくなかった。


シンジ 「アスカ、弁当持ってきたよ。」

アスカ 「はぁ?別にいらないわよ。」

シンジ 「でも、せっかく作ったんだし、食べてよ。それじゃあ。」

そのままシンジは弁当を1つ、アタシの机においていった。
シンジはなにやら男2人としゃべりながら教室の外に出ていった。
屋上で食べるってのかしら。

ヒカリ 「いいわねえ、手作りのお弁当。」

はっと気づくとヒカリがニヤニヤしていた。

アスカ 「そ、そんなんじゃないわよ。どうせ、味も大したことないわよ。」

ヒカリ 「あら、わからないわよ。アタシもお弁当だし、一緒に食べよ。」

そういえば学校でお弁当なんていつ以来だろう?アタシは弁当の蓋を開けた。
中に入っていたのは卵焼きや唐揚げなど、アタシの好きなものばかり。
いったいいつの間に作ったのかしら・・・。

ヒカリ 「おいしそうじゃない。1つもらうわよ。」

アスカ 「どう・・・?」

ヒカリ 「・・・・・・おいしい。」

アスカ 「え、ホント?」

ヒカリ 「はああ、料理もうまいなんて・・・。アスカ、離しちゃダメよ。」

アスカ 「あのねえ、そういう関係じゃないのよ・・・。」

とはいえ、アイツは死角がなさすぎる。
見たところ欠点もないし、他人から見たら完璧だろう。
でも・・・気にくわない。どうしてかしら・・・?

5限目は国語だった。アタシはこの授業が大嫌い。
この教師ってどうもアタシのことを目の敵にしてるみたいなのよね。
まあ、授業中にしょっちゅう居眠りしてるせいかもしれないけど。

教師  「では昨日の宿題のプリントを提出して。」

宿題・・・宿題??あったかしら、そんなもの?
あ・・・そういえば漢字の書き取りのプリントのようなものがあったような・・・。
やってない・・・どうしよう・・・。

教師  「ん?惣流さん?あなたのプリントが見あたらないけど?」

ほら、来たわ・・・。
アスカ 「ええと・・・それは・・・。」

シンジ 「先生、アスカは昨日夜遅くに家に着いた僕の世話をしてくれていたんです。
     それで宿題をする時間を奪ってしまったんです。だから、叱るなら僕を
     叱って下さい。」

教師  「そ、そうなの・・・。じゃあ仕方ないわね・・・。惣流さん、明日には
     持ってきなさい。」

シンジ 「先生、明日は土曜日で休みですが?」

教師  「く・・・じゃあ月曜に持ってくること。いいわね?」

アスカ 「はい・・・。」

席に着くとシンジがこっちを見てウインクした。
でもアタシは無視した。なんだかひどく気に入らなかった。
シンジはいろんな点でアタシの上をいっている。それは認めざるを得ない。
でも。だから。アタシはアイツが憎らしい。


シンジ 「ただいま〜。なんだアスカ、先に帰ってたのか。待っててくれても
     いいのに。」

夕方、買い物袋を持ってアイツは帰ってきた。

シンジ 「スーパーがどこにあるとかわかんなくて大変だったよ。」

アスカ 「そう。」

シンジ 「アスカ、どうしたの?学校にいるときから変だよ?」

アスカ 「アンタのせいでしょ。」

シンジ 「そう・・・ごめんね。でも僕はアスカを幸せにするって約束したから。
     そうだ。今日の夕食はアスカの好きな・・・。」

アスカ 「いらない。」

シンジ 「え?」

アスカ 「今日は何もいらないわ。」

アタシはそう言って自分の部屋に行った。
お腹はすいている。でも食べたくない。


シンジ 「アスカ・・・。」

扉の向こうから声がした。アタシは答えなかった。

シンジ 「アスカ・・・冷蔵庫の中にハンバーグを入れておいたから・・・。
     お腹がすいたら食べるんだよ・・・。じゃあおやすみ。」

自分でわかっている。
アタシはアイツに嫉妬している。なんでもできるアイツに。
それは少し前までのアタシ。他人には何でもできるように見せていた。
他人はそんな見せかけにだまされてくれた。
でも、アイツは違う。アタシのポジションを奪い、アタシの素顔を見る。
アタシは、怖いのかもしれない・・・。



そのころ・・・。
カヲル 「今日転校してきた彼、不思議な感じだったな。好きなタイプだけどね。」

レイ  「そう・・・。」

カヲル 「そういえばどうして僕とレイのこと知ってたんだろう?」

レイ  「・・・彼も、こちらに来たのね・・・。」

カヲル 「・・・!レイ、知ってるのかい?」

レイ  「ええ。」

カヲル 「彼は・・・いったい何なんだい?」

レイ  「今は話す時じゃないわ・・・。」

カヲル 「そうか。いずれにしろ彼からも目を離すことはできないようだね。」



つづく






   (筆者より)

第2話、いかがでしたか?LynXです。
だいぶ間が空いてしまってすみません。

謎は深まるばかりですね。
シンジはアスカ様を幸せにできるのか?
これがこの先ずっと、このお話の課題でもあります。

第3話以降もお楽しみに。

それでは、感想お待ちしております。


LynXさん、本当にありがとうございました!!

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Hisashi.Nakamura@ma3.seikyou.ne.jp
までお願いします。


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