あたりまえじゃない。
前編
作 LynX
アスカ 「シンジ!ちょっと来て!」
シンジ 「何?」
アスカ 「早く来なさいよ!」
シンジ 「なんだよもう・・・。」
アタシは夕食の片づけをしていたシンジを呼んだ。
シンジ 「何?」
アスカ 「これよ、これ!」
シンジ 「ああ、人気の『炎の挑戦者』ってやつだね。
おもしろいよね、これ。」
アスカ 「じゃなくて、これよ。」
シンジ 「ん?えーと、『カップル限定、24時間キスし続け
られたら100万円:東日本大会』?」
アスカ 「そう、それ。」
シンジ 「これがどうかしたの?」
アスカ 「出るわよ。」
シンジ 「・・・・・・は?」
アスカ 「この大会に出て、100万円もらうのよ!」
シンジ 「・・・誰が?」
アスカ 「決まってるじゃない、アンタとアタシよ。」
シンジ 「へ?」
アスカ 「そうと決まれば特訓よ!」
シンジ 「あのぉ・・・。」
アスカ 「いいわね、シンジ?」
シンジ 「はい・・・。」
フフフ、うまくいったわ。
これで正当な(?)理由のもとでシンジとキスができる上に
お金まで手にはいるわ。(←捕らぬ狸の皮算用・・・。)
まさに一石二鳥ね。さすがアタシね・・・。
明日から・・・いえ、今夜から楽しみだわ・・・。
アスカ 「さあ、大会までは1ヶ月しかないわよ!」
シンジ 「1ヶ月もあるのか・・・。」
アスカ 「何か言った?」
シンジ 「いえ・・・。と、とにかく、今日はもう遅いし、そろそろ
寝ようよ。」
アスカ 「そうね・・・。」
・・・・・・
シンジ 「・・・寝るんじゃなかったの?」
アスカ 「寝るわよ。」
シンジ 「じゃあなんで僕の部屋にいるの?しかもパジャマ姿で。」
アスカ 「ここで寝るからに決まってるじゃない。」
シンジ 「は?ど、どうして?」
アスカ 「アンタ、バカァ?キスは2人の呼吸で勝負が決まるのよ!
一緒に寝るのくらい、当たり前じゃない!(←そうかぁ?)」
シンジ 「でも、ほかの出場者はここまでしてないと思うよ・・・。」
アスカ 「だからこそよ!日々の努力(?)を惜しまない者にこそ
勝利の女神は微笑むのよ!わかった?」
シンジ 「うう・・・。わかったよ・・・。じゃあ、アスカはベッドを
使って。僕は床で・・・。」
アスカ 「はぁ?何言ってるのよ?アンタもベッドで寝れば
いいじゃない。」
シンジ 「な、な、何言ってるんだよ!」
アスカ 「つべこべ言わないの!さ、寝るわよ!」
アタシはシンジを無理矢理ベッドに寝かせて明かりを消した。
そしてアタシもシンジの隣にもぐりこんだ。
ウフフフ。シンジのベッド。シンジのにおいがする・・・。
シンジ 「じゃ、じゃあおやすみ、アスカ。」
アスカ 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
シンジ 「な、なに?」
アスカ 「寝る前にすることがあるでしょ。ほら。」
シンジ 「え?することって・・・?うーん。ガスの元栓は
閉めたし・・・。」
アスカ 「もう!そんなんじゃないわよ!いったい何のために
こうやって一緒に寝てるのよ!」
シンジ 「は?」
アスカ 「おやすみの、キ・ス。」
シンジ 「・・・えええええええ!!!」
ゴン!
シンジ 「いたたた・・・。」
アスカ 「なに壁に頭ぶつけてんのよ。ほら、早く。」
シンジ 「ホントに・・・するの?」
アスカ 「は・や・く!」
シンジ 「はい・・・。」
やだ・・・目つぶってたらなんかドキドキしてきちゃった・・・。
はやく・・・しなさいよ・・・。
・・・ん?唇に一瞬何か触れたような・・・。
シンジ 「し、したよ、アスカ。じゃ、じゃあ、おやすみ。」
アスカ 「ちょ、ちょっとシンジ、今のは何よ!やり直しよ!」
シンジ 「・・・・・・。」
アスカ 「・・・くっ、まあいいわ。今日のところは。明日からは
特訓だからね!」
フフフフ。おやすみのキス・・・。新婚夫婦みたいね。
ちょっと強引だったけど、シンジにはこれくらいじゃないとね・・・。
フフフフ。明日からが楽しみだわ・・・。
今日はシンジの夢が見られるかなあ・・・。
シンジ 「アスカ・・・朝だよ・・・。」
アスカ 「ううーん・・・。」
これほど気持ちいい朝を迎えたのは久しぶりだわ。
シンジのにおいに包まれて朝を迎える・・・。
キャー、もう、アタシったら。
シンジ 「アスカ・・・なにしてるの・・・遅刻するよ?」
アスカ 「はいはい。・・・そうだ、シンジ。」
シンジ 「なに?」
アスカ 「ん〜。」
シンジ 「?」
アスカ 「んんん〜!!」
シンジ 「・・・・・・するの?」
アスカ 「ん。」
シンジ 「・・・・・・わかったよ。」
ンフフ〜。やっぱりキスで起こしてもらうのっていいわね〜。
まさに新婚夫婦よね〜。
これで1日が始まるってものよねぇ・・・。
ハア〜。
シンジ 「アスカ〜、早くしないと〜。」
アスカ 「わ、わかってるわよ〜。」
あぶないあぶない。アタシとしたことが。
思わずボ−ッとしちゃったわ。
でも・・・これが毎日続くのよね・・・。グフフフフ・・・。
アタシとシンジは一緒に登校。
もちろん・・・。
アスカ 「シンジ、昨日はよく眠れた?」
シンジ 「う、うん・・・。」(おいおい、目の下にくまできてるぞ・・・。)
アスカ 「そうよねー。こんな美人と一緒だったんだものね〜。」(・・・気づけよ。)
シンジ 「ア、アスカ!」
アスカ 「どうしたのよ?」
シンジ 「そんなこと大きな声で・・・。」
アスカ 「別にいいじゃない。誰も聞いてないわよ。」
な〜んて。ホントは聞こえるように言ったんだけど。
だって・・・自慢したいじゃない・・・。
アタシと、シンジのこと。
シンジ 「それに・・・これ・・・。」
アスカ 「ん?何よ?」
シンジ 「腕・・・。」
アスカ 「何言ってんのよ。アンタとアタシは同じベッドで
寝た仲なのよ。これぐらい・・・。」
シンジ 「わ、ちょっ、だから、そんなに大きな声で・・・。」
どうせ後でばれることなんだから同じことなのに。
まったく、シンジは気が弱いんだから。
これからの特訓でそこのところも変えていかないとダメね。
・・・昼休み
アスカ 「シンジ〜、お弁当は〜?」
シンジ 「ああ、アスカの分もちゃんと持ってきてあるよ。」
アスカ 「そう。じゃ、それ持って屋上行くわよ。」
シンジ 「え?なんで?」
アスカ 「アンタバカァ?屋上で食べるからに決まってるからでしょ!」
シンジ 「あ、それじゃトウジ達も誘って・・・。」
アスカ 「ア〜ンタバカァ?!何しに屋上行くかわかってんでしょうね?!」
シンジ 「何って・・・お弁当食べるだけじゃ・・・?」
アスカ 「特訓よ、と・っ・く・ん!」
シンジ 「特訓て・・・えええ?!学校でもするの?」
アスカ 「あったりまえじゃない!あと1ヶ月しかないのよ!」
シンジ 「なにも学校でまで・・・。」
アスカ 「あーイライラするわね!とにかく行くわよ!」
アスカ 「はい、アーン。」
シンジ 「・・・・・・。(モグモグ)」
アスカ 「次はシンジよ。」
シンジ 「じゃ、じゃあ・・・ハイ、アスカ。」
アスカ 「アーーン。アム・・・。(モグモグ)あーおいし。
じゃあ、シンジ、アーンして。」
シンジ 「ア、アスカ・・・。」
アスカ 「なによ?」
シンジ 「やっぱりやめようよ・・・。恥ずかしいよ・・・。」
アスカ 「なーに言ってんのよ。ほら、アーン。」
シンジ 「だ、第一、これのどこが特訓なんだよ。」
アスカ 「わかってないわねえ。キスは心の架け橋なのよ。
アタシ達はもっとお互いの仲を深めなきゃ。」
シンジ 「で、でも・・・。」
アスカ 「ほら、この卵焼き、おいしいわよー。アーン。」
シンジ 「う・・・。(モグモグ)」
フッフッフ。ここまでの計画は完璧ね。
さすがアタシだわ。このままでいけばシンジはもうすぐ落ちるわね。
(なんか目的が違うような・・・。)
う、うるさいわね。さあ、次いくわよ!
・・・放課後
シンジ 「それじゃ、アスカ、僕は買い物してから帰るから。」
アスカ 「あ、待って。アタシも行くわ。」
シンジ 「いや・・・でも・・・。」
アスカ 「なによ、アタシが行くとイヤなの?」
シンジ 「そんなことは・・・。」
アスカ 「じゃ、いいわよね?」
シンジ 「・・・うん・・・。」
スーパーマーケットの中はさほど混んでいなかった。
夕食の材料を買う母親と子供や、会社帰りらしいサラリーマン。
でも、やっぱり制服姿の男女2人というのはアタシ達だけだった。
だから人の目も当然集まる。なんだかうれしいな♪
シンジ 「アスカ、今日は何食べたい?」
アスカ 「なんでもいいわ。シンジの作るものだったら。」
シンジ 「そ、そう。」
シンジったら照れてるみたい。真っ赤になっちゃって。
純情なんだから。でも、そこがシンジのいいところよね〜。
アスカ 「ねえねえシンジ。」
シンジ 「なに、アスカ?」
アスカ 「アタシ達ってどんなふうに見られてるのかな?やっぱり
恋人同士って見られてるかな?」
シンジ 「バ・・・アスカ、何言ってんだよ。」
アスカ 「フフフフ。でも、こうやってるとホント、新婚夫婦みたいね。」
シンジ 「ちょ・・・もう・・・人をからかって・・・。」
アスカ 「フフフ。さ、はやく買い物済ましちゃいましょ。」
・・・「「ただいま〜。」」
まったく・・・。スーパーから家までってどうしてこんなに近いのよ。
せっかく腕を組んで帰ってきたのにすぐ着いちゃったじゃない。
(でもシンジくん、何か疲れてるような・・・。)
うるさいわね!アタシが近いっていったら近いのよ!
シンジ 「アスカ、ミサトさん、今日も遅くなるって。メモが。」
アスカ 「ふ〜ん。」
やったわ。ますます好都合じゃない。
さあ、計画実行よ・・・。
シンジ 「アスカ〜、ごはんできたよ〜。」
アスカ 「今行く〜。」
シンジ 「さ、座って座って。」
アスカ 「は〜い。」
シンジ 「アスカ、そこはアスカの席じゃないよ・・・?」
アスカ 「いいの。今日はここがいい。シンジの隣。」
シンジ 「ま・・・まあいいけど。」
アスカ 「いっただ〜きま〜す。」
シンジ 「いただきます。」
アスカ 「あ、シンジ、アタシ、唐揚げから。」
シンジ 「は?」
アスカ 「ほら、早く。アーン。」
シンジ 「夕食も・・・?」
アスカ 「あたりまえでしょ。ほら、早く。」
シンジ 「はぁ・・・・はい、アスカ。」
アスカ 「アーーンムンム・・・。あーおいし。じゃあ
次はシンジ、どれがいい?」
シンジ 「はぁ・・・。」
・・・・・・
アスカ 「シンジィ〜、片付け終わった〜?」
シンジ 「うん。終わったけど。」
アスカ 「それじゃ、こっちに来なさい。」
シンジ 「何?」
アスカ 「そこに座りなさい。」
シンジ 「いったい何?」
アスカ 「フッフッフ。これを見なさい。これがアタシの作った
必勝プランよ。どう?」
シンジ 「どうって・・・。」
アスカ 「このプランは3段階に分かれているわ。まず、第1段階、
キスの基本テクニックを磨く。要するに普通のキスの
やり方を覚えるわけね。」
シンジ 「それって・・・。」
アスカ 「そして第2段階、キスの応用テクニックを磨く。つまり
24時間続けられるようなキスのやり方を覚えるわけよ。」
シンジ 「うん・・・。」
アスカ 「そして最終段階は度胸を磨く。つまり、人前で堂々と
キスができるようにするわけ。どう?わかった?」
シンジ 「うん・・・。」
アスカ 「さあ、そうと決まったら早速練習よ。まずは基本
テクニックからいくわよ〜!」
・・・・・・
アスカ 「だーから!鼻で息しないでって言ってるでしょ!
くすぐったいじゃない!」
シンジ 「でも、息が苦しいんだよ・・・。」
アスカ 「あんたねえ、口離して吸えばいいじゃない!」
シンジ 「でもアスカが離してくれないんじゃないか・・・。」
アスカ 「つべこべ言わないでもう1回やるわよ!」
シンジ 「アスカ・・・もう寝ようよ・・・。12時だよ・・・。」
アスカ 「む・・・そうね。明日からも練習するからね。わかった?」
シンジ 「うん・・・。」
アスカ 「じゃ、寝るわよ!」
明日からも楽しみだわ・・・。
アタシ達は毎日特訓(?)を続けた。
当然噂も立ってきたがアタシは気にしなかった。
ラブレターの数が減ったからむしろ喜んでいるくらい。
特訓の方も順調に進む、ように思えた。最初のうちは。
でも、1週間たっても第1段階から抜けられなかった。
10日たち、2週間たち、ついに大会まであと10日になっても
まだ第1段階のままだった。原因はシンジ。
恥ずかしがって練習なのにろくにキスもできない。
アスカ 「アンタねぇ、やる気あんの?」
シンジ 「だから一生懸命やってるじゃないか。」
アスカ 「そのわりには全然進歩しないじゃない。」
シンジ 「当たり前だろ。まだキスに慣れないんだから。」
アスカ 「慣れなきゃいけないのよ!大会まであと10日しかないのよ!」
シンジ 「そんなこと言ったってしょうがないだろ!」
アスカ 「そんなことじゃ100万円は取れないわよ!だいたいねえ・・・
・・・?シンジ?どうしたの?急に立って。」
シンジ 「アスカ、ごめん。急に気分が悪くなった。もう寝るよ。」
アスカ 「ちょ、ちょっと!」
シンジ 「あと、今日は別々に寝よう。ごめん。それじゃ。」
アスカ 「あ、シンジ!」
その夜、アタシは久しぶりに自分のベッドで寝た。
1人だけで寝るとシーツがやけに冷たく感じられた。
シンジ・・・どうしたの?
ミサト 「アスカ、起きなさい、遅刻するわよ。」
アスカ 「うーん、あれ、ミサト?」
ミサト 「シンちゃんはもう行っちゃったわよ。アスカも
早く起きないと。」
アスカ 「そう・・・。」
アイツ・・・1人で行ったんだ。
いったい何だっていうのよ・・・。
アタシのこと・・・嫌いになったのかな・・・。
おかげでアタシは遅刻した。
何とか先生には許してもらって席に着いた。
シンジはアタシの方を見もしなかった。
先生 「それでは教科書を開いて。前回の続きを・・・
じゃあ碇くん、読んで。」
シンジ 「・・・・・・。」
先生 「碇くん?」
シンジ 「あ・・・はい・・・。」
先生 「42ページ、5行目から。」
シンジ 「はい・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
先生 「どうしたの?」
バターン
先生 「ちょっと、碇くん、大丈夫?だれか、碇くんを
保健室に連れていってあげて。」
シンジは保健委員に連れられて行った。
シンジ・・・いきなり倒れるなんて・・・あとで見に行ってみよう。
昼休み。シンジとアタシのお弁当を持って保健室に行った。
ガラガラガラ
アスカ 「シンジ?」
シンジ 「・・・・・・アスカ?」
アスカ 「お弁当持ってきたわよ。」
シンジ 「ありがとう・・・でもいらない・・・。」
アスカ 「シンジ・・・。」
シンジは目は開けているものの、まだベッドに寝たままだった。
心なしか顔色もよくない。
アスカ 「シンジ・・・大丈夫?」
シンジ 「うん・・・ただの疲労と睡眠不足。」
アスカ 「アンタ・・・ちゃんと寝てなかったの・・・?」
シンジ 「うん・・・。」
アスカ 「そう・・・。」
シンジ 「あのさ・・・。」
アスカ 「なに?」
シンジ 「アスカ・・・・どうして僕なの?」
アスカ 「なにが?」
シンジ 「大会の、パートナーが。」
アスカ 「アンタ以外誰がいるってのよ・・・。」
シンジ 「いっぱいいるじゃないか・・・。それから・・・
それから、終わったあと・・・どうするの?」
アスカ 「どうするって?」
シンジ 「やっぱり元通りただの同居人に戻るんだよね・・・。」
アスカ 「それは・・・。」
シンジ 「・・・・・・。」
アスカ 「・・・・・・。」
シンジ 「・・・ごめん。変なこと聞いて。僕、もう早退するよ。」
アスカ 「そう・・・。」
シンジ 「やっぱり・・・無理だよ・・・僕には・・・。」
アスカ 「そう・・・。」
終わったあと。考えてなかった。
アタシはうかれすぎていた。・・・終わったあと。
いつまでも恋人同士のように・・・いいえ、恋人同士になって。
いつまでも甘い毎日を過ごす。そう思っていた。
シンジは・・・どうなの・・・?
つづく
(筆者より)
遅くなりましたが、100000HIT記念小説の第2弾です。
もうすでに120000近い・・・。
この間、私は111111HIT踏みました。
ぞろ目っていいですね〜。
それはさておき、第2弾小説、第1弾とのつながりがいくつか
あります。それをぜひ見つけて下さい。
それを見つけるためにも、後編をお楽しみに。
「ま〜くの落書き部屋」のますますのご発展をお祈り申し上げます。
LynXでした。
感想お待ちしています。
LynXさん、本当にありがとうございました!!
Lynxさんへの感想メールを!
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までお願いします。