金曜の5限と6限
前編 金曜の5限
窓の外には、山と空が見える。どちらも碧い。視線を教室の中に移せば、窓際の彼女もまた、蒼い。ただ違うの
は、窓の外はジリジリとうだるような熱さなのに、綾波は超然として涼しげで、汗一つかいていない。まるで人
形のように泰然として、そこに、いる。だから、山や空よりも、彼女の方が静かに、青い。
たた、彼女が人形でない証に、差し込んでくる風に彼女の綺麗な髪の毛が、一本一本揺れる。サラサラと音が聞
こえるような気すら、する。
彼女も自分と同じように、窓の外を只管見つめている。或いは彼女が見ているのは街かもしれない。でも、もし
かすると彼