Remember day and Forget day


「ここはいつまで経っても変わらないな・・・」

シンジは、芦ノ湖が見える高台に来ていた。
ただ、何となく湖が見たい気分になって、ここに来たのだ。
そして、ここから見る芦ノ湖は、シンジにあの事件を思い出させるには、十分すぎるものだった。

「・・・・・マナ・・・・」

シンジは、ふと、その名前を呟いた。
おそらく、シンジの想いの対象である「霧島マナ」は今頃、名前を変えて、どこか遠い土地で暮らしているのだろう。
シンジのつぶやきは、決してマナには届かないものだった。

シンジは、湖の畔まで降りてきた。
水平線は、遠く彼方まで続いていて、その向こうには無機質なビルがぼやけて見えた。

「今頃、どうしてるんだろう・・・・・」

湖の水面は、シンジのその問いかけに答えることはなく、静かに波を刻んでいた。
シンジは、湖の畔にしゃがみ込んで、水面をのぞき込んだ。
湖の水面は鏡のようで、シンジの顔が綺麗に映し出されていた。
シンジは、自分の顔を凝視していた。
優しく笑ってみる。その微笑みは、マナに対してだった。
シンジが、こう笑うと、マナは優しく微笑み返してくれていた。
不意に、湖面に影が映った。そして、シンジが見ている水面の顔の上に、見覚えのある顔が映った。
その顔は、シンジの微笑みに優しく微笑み返していた。
シンジは、立ち上がったあと、ゆっくり後ろを振り向いた。

「・・・・・・・シンジ・・・・・」

シンジの目の前に立っているのは、紛れもなくマナであった。

「・・・・マ・・ナ・・・・・」

シンジは、それきりなにも言えなかった。
いや、言葉など必要なかったのかもしれない。
二人は、そのまま何も言葉に出さずに、しばらく見つめ合っていた。
マナは、その間、終始笑顔を崩さなかった。

「・・・・久しぶりだね。マナ・・・・」

しばらくして、シンジがその静寂を打ち破った。

「そうね。ねえ。あの時みたいに、一緒に湖を眺めよ?」

マナは、そういうと、その場に座り込んだ。そしてシンジも、マナの横に座った。

「マナ。なんでここにいるの?」
「ちょっとね。こっちに修学旅行で来てたの。それで、なんだかここが懐かしくなっちゃって、来てみたの」
「そうなんだ。僕も、なぜだか知らないけど、ここに来てみたくなってね」

マナは、シンジの言葉を聞いて、クスッ、っと笑った。

「何がおかしいの?」
「いやね。なんだか、運命みたいなものを感じちゃって・・・・」
「・・・・そうかもね」
「シンジは、元気でやってた?」
「うん。マナは?」
「見ての通りよ。あれからいろいろあったけど、元気にやってるわ」
「マナは、今どこに住んでるの?」
「・・・・・・・」

シンジの問いかけに、マナは黙り込んでしまった。
そして、少し考えたあと、マナが口を開いた。

「ごめん。それは言えないの。言っちゃったら、今までのことが水の泡になっちゃうから・・・」
「・・・・僕の方こそごめん。何も考えないで・・・・・」

二人の間に、また沈黙が流れる。
ただただ、湖の波の音だけが、響いていた。
次にその沈黙を破ったのは、マナだった。

「ねぇ。シンジ。私ね。今は、「桐生ミキ」って言う名前なのよ。今住んでるところでも、友達もできたし、楽しく暮らしてるわ」
「そうなんだ。よかった・・・・」

そうシンジが言ったとき、遠くから、もう一つの声が聞こえた。

「シンジー!まったく、どこ行っちゃったのよ!このアタシをおいてけぼりで!」

その声は、マナの声よりも聞き覚えのある声であった。
そして、その声の主は、徐々に二人がいる所に近づいてきた。

「シンジ!!ようやく見つけた!!!アタシをほっぽって、こんな所に来てるなん・・・・・・・???」
二人の目の前に姿を現したのは、アスカであった。
そして、アスカの視野にマナの姿が入ったとたんに、驚きの表情を浮かべて、絶句してしまった。

「ななななな、何であんたがここにいるのよ!それも、シンジと一緒に!!!」

アスカは、どもりながらも二人がここに一緒にいることに反論した。
マナは、アスカの言葉に、顔を曇らせてしまった。

「い、いや、違うんだよ。アスカ」

シンジがすかさずアスカを説得しにかかる。
しかし、これで黙るようなアスカであれば、マナが表情を曇らせたりはしない。
そして、シンジの予想通りに、アスカの反論が始まった。

「何が違うのよっ!!現にこうして、この女と逢い引きしてるじゃないの!!」
「だ、だから、誤解だって。マナとあったのは、本当に偶然なんだよ」
「偶然もかかしも無いっ!帰るわよ!!シンジ!!」

アスカは、そういうとシンジの腕をつかんで、無理矢理引きずろうとした。
その時、黙っていたマナが口を開いた。

「待って!アスカさん!」
「・・・・何よ?あんたはもう、シンジとは終わったんでしょ?」
「・・ちょっとでいいんです。・・・・ちょっとだけ、シンジくんを貸してもらいたいんです・・・」

マナのその言葉には、悲しみのような響きが混じっていた。
アスカも、その響きを感じ取ったのか、少し考えて、シンジの腕を放した。

「・・・ちょっとだけよ?ちょっとしたら、返してもらうからね?」
「ありがとう・・・・・」

シンジを解放したアスカは、そういうと、元来た道を戻っていった。

「・・・・マナ」
「シンジ。今は、こんな事が無いと会えないかもしれないけど、全て終わったら、会いに来るから」
「・・・・マナ」
「シンジ・・・・・それまで、信じていてもいい?」
「・・・もちろんだよ・・・・待ってるから・・・」
「・・・・私も待ってる・・・・・シンジにちゃんと会える日を・・・・」


There was the forgotten days story. end





後書き

どうも。GIDAです。
こんなお話になっちゃいました。
でも、一応アスカ様も出したし、これがマナちゃんを書く初めての小説だったもので、一応満足しています。
あ・・・・綾波忘れてる・・・・・・
アヤナミストの方、すみません。でも、ゲームの方にも、綾波の出番少なかったし・・・(汗)
ちゅーわけで、これは、後に書く長編の前書きみたいなものです。
そのうち、おいらのHPでアップするつもりですから、そちらの方もあわせてお楽しみいただけると幸いです。
では、また次の機会に(次もあるのか??)会いましょう。


GIDAさん、本当にありがとうございました!!

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