not change one
変わらないもの
チェロの音が、長く響いた。
シンジがチェロを身体から離した。
演奏が終わったのだ。
パチパチパチ
アスカが、満足そうな顔で拍手を始めた。
すると、まわりのシンジのチェロに聞き入っていた人達も、アスカの拍手につられて、拍手を始めた。
そのオープンテラスは、しばらくの間、幾つもの拍手が響いていた。
シンジは、その拍手に少しだけ礼をすると、何事もなかったかのように、自分のイスに座った。
「ふぅん。あんた、やっぱり変わったね」
シンジがイスに座った直後、アスカがシンジに話しかけた。
「だって、前だったら、恥ずかしくて、こんな所で弾けるわけないもんね」
「そうだね。だから言ったじゃないか。僕は、どんどん変わって行くんだよ。これまでも、そして、これからも」
「そっか…少し、寂しいな」
「なんで??」
「だって…なんか、私の知ってるシンジじゃないみたいなんだもん」
「そうかな?僕は僕だけど…それより、どうだった?僕のプレゼント」
「うん。とってもよかったよ。今までで、最高のプレゼントよ!」
「ありがとう、アスカ」
シンジはそう言うと、アスカに対して、優しい微笑みで返した。
「寒いね」
そう切り出したのは、アスカであった。
二人は、先程のオープンテラスを後にして、二人で人気の少ない街の中を歩いていた。
「寒いね。アスカ、これを着なよ」
シンジはそう言うと、自分の羽織っていたコートを、アスカに差し出した。
「だめ」
「え?なんで??」
「だって、それをもらったら、シンジが今度寒いでしょ?」
アスカはそう言って、シンジの腕に自分の腕を絡ませてきた。
「こうすれば、アタシは大丈夫だから」
「そうだね」
シンジは、それを嫌がることもなく、アスカに優しい微笑みを投げかける。
「ほら、それよ。それ」
「?」
シンジは、アスカの突飛な発言に、不思議そうな顔をした。
「だから。それだって言ってるでしょ!」
「・・アスカ、なんの話?」
「シンジの、変わってないところ!」
「僕の、変わってないところ??」
シンジは、いまだ不思議そうな顔をしている。
「シンジの、その笑顔よ」
「僕の…笑顔?」
「そ。いつも、そうやって優しくアタシに微笑みかけてくれたじゃない」
「そっか…」
「だから、アタシの中では、いつまでたっても、あの頃のシンジのままよ。アタシに、そうやって微笑みかけてくれる限り」
「そうだね。僕の中でも、アスカはアスカのままだよ。あの頃の、ちょっと強気で、実は優しくて、そして、抱きしめたら壊れそうなほど弱い…」
「ねぇ…あんた、口がうまくなったんじゃない?」
「そうかな?僕は、そんなつもりはないんだけどな」
「なんか、加持さんみたいな、きざなセリフも、今のあんたなら言えそうね」
「ははっ。加持さんには、とてもじゃないけど及ばないよ」
シンジのその言葉に、アスカは少し黙ってしまったが、ゆっくりと、少し小さな声で、シンジに問いかけた。
「でも、アタシと一緒にいるときは、いつまでも、あの頃のシンジでいてね…?」
「もちろんだよ。今は、アスカのそばにいることは出来ないけど、僕が一人前になったら、必ず、ここに戻ってくるよ。そして、その時は、アスカのそばにいるから…」
「うん…アタシのそばに、ずっといてね」
end
後書き
どうも。ちょっと分けありで、急いで書き上げたので、なんか腑に落ちませんが、すっと練り上げていた構想なので、取り敢えず、すっきりしています。
どうでしたでしょうか?大人になりつつあるチルドレン(って言っても、アスカ様とシンちゃんしかいませんが・・(^^;)の、お話は。
やっぱり、大人のシンちゃんは、加持さんに近くなってしまいましたけど(^^;
もうちょっと、二人の性格が出ればな、と思ったんですけどね。
では、またあう機会があれば、あいましょう。
GIDAさん、本当にありがとうございました!!
GIDAさんへの感想メールを!
gida@os.xaxon.ne.jp
までお願いします。