case
2
湖の音が聞こえる。
この音を聞くと思い出すの。
あの時、私があの場所にいたことを。
そして、あなたが私のそばにいたことを…
Meaning of Tears
「戦略自衛隊少年兵、霧島マナ」
それが、私の肩書き。
そして、逃げられなかった宿命。
私の両親が、戦自所属だったための運命。
私は、こう教えられたの。
「どんなことがあっても、どんな手段を用いても、目的は達成すること」
それが、私の全てだった。
そして、気が付けば、少年兵に志願していたの。
それが、私の運命だとも知らずに。
でも、そこでかけがえのない人達に出会ったの。
ムサシとケイタ。
二人は、とても優しかったわ。
そして、私と二人は、戦友として同じ日々を過ごしたの。
いくら訓練が辛くても、二人と、他のみんなと一緒だから、苦にはならなかったの。
でも、そのはかない幸せは長くは続かなかった。
結局、ムサシとケイタは逃げ出してしまった。
私は取り残された。
どうして?
そんな想いが心をよぎってならなかったわ。
でも、ムサシとケイタは、私に約束してくれてた。
「必ず迎えに来るから。3人で、楽しく暮らそうよ」
その言葉だけが私の支えになっていたの。
そして、いつも通り、次の任務が、私のもとに来たの。
「サードチルドレン・碇シンジ、及び、エヴァンゲリオンについての調査」
今まで、同じような任務をいくつもこなしてきたわ。
そのたびに、私は手段を選ばずに成功させてきた。
最初はとても辛かったけど、次第に心が渇いていくのがわかった。
そして、本当の自分を見失っていくのも…
今回も、同じ事を繰り返すのか…
その時は、そう思っていたの。
そして、邂逅。
私はいつも通り、彼と接近していった。
本当の自分を捨てて。
ただ、目的の為だけの自分を作り出して。
今回の任務は、意外と楽そうだったわ。
ネルフにも侵入できたし、碇シンジからエヴァの情報も色々聞き出すことが出来た。
でも、何かが心に奥で引っかかっていたの。
碇シンジは、人を疑うことをしなかった。
私を信頼してくれた。
私を信用してくれた。
私をかばってくれた。
この安心感は何?
この心の苦しみは何?
今までと同じようにしているのに。
その時、私は答えを出すことは出来なかったわ。
いえ。答えを出すことを怖がっていたのかもしれない。
自分の中で生まれた物を…
任務は、着実に進んでいた。
あとは、彼に好意を持たせて、洗いざらい聞き出すだけ。
また、いつもの繰り返し。
私の心は渇いたまま。
でも、これが私のすべき事。
決して逃げられない運命。
そう思って、自分を騙していたの。
「ねぇ、マナって呼んで」
「え、なんだか、恥ずかしいよ……」
「呼ばないと、お弁当おあずけね」
「そういうの僕のキャラクターじゃないし」
「あっそ、じゃ、お弁当もって帰ろっかな」
「待ってよ、心の準備するから」
「ハイ」
「……マナ」
「なぁに、シンジくん」
「………マナ」
「シンジ……」
「マナ」
「好きよ、シンジ」
「ねぇ、シンジ」
「何?マナ」
「お風呂…一緒に入っていいかな?」
「え…駄目だよ。だって、僕たちは一応、男と女だし…」
「ね。いいでしょ?」
「だから…駄目だって」
「…ねぇ。シンジ。私…シンジと一緒にいたいの」
「それは、僕も一緒だよ。マナ」
「だから…シンジとのつながりが欲しいの」
「…つながり?」
「ねぇ……私を抱いて。シンジ……」
「え!?抱いてって…?」
「言葉、そのままの意味よ。私、シンジと一つになりたいの…」
「だ、駄目だよ!僕たち、中学生じゃないか!そんなの絶対駄目だよ!」
「なんで!?歳なんて関係ないじゃない!私たち、愛し合ってるんでしょ?そんなの関係ないよ!」
「僕は、マナを傷つけたくないんだ!!」
「………え?」
「だって…一つになるって言うことは…そう言うことだろ?でも、そう言うのって、女の子の方が傷つくって、聞いた事あるから……」
「………」
「……ごめん。マナ。そのかわり、お風呂ぐらいなら、一緒に入ってもいいよ…」
「……シンジ…優しいんだね…」
今までとは違った。
でも、何故か心が温かくなった。
今まで渇いていた心に、水がしみこんでいくようだった。
そして、私の中で生まれた物が、どんどん大きくなっていくのを感じた。
これ以上自分をだませなかった。
「私は、シンジ君のこと、愛してます」
その時、自分でも初めて気づいた。
私は、シンジのことを愛している。
そして、それと同時に、シンジを騙している事への罪悪感は、強くなった。
シンジの前にいることが辛くなったの。
そして、私は逃げ出した。
シンジから。そして、自分の運命から。
初めて、自分の意志で。
ケイタが捕まってしまった。
私の大事な戦友が。
私は、シンジに頼るしかできなかった。
いくら、シンジが敵だったとしても。
私は、私の無力さを呪ったわ。
戦自の少年兵ではない、一人の何もできない女の子なんだと。
シンジは、逃げ出した私に、何も聞かずに協力してくれた。
そして、惣流さんや、綾波さんも。
私は、今まで私がやってきたことに、疑問を持たざるを得なくなっていたわ。
自分が信じられなかった。
今までの自分は、一体何だったんだろう。
自分を傷つけてまでやってきたことは。
そして、とうとう自分の運命に捕まってしまった。
逃げ切れなかった。
逃げることは出来なかった。
ムサシをおびき出すために、私は餌にされた。
その時初めて、怖い、と思った。
手段を選ばないことを。
自分がやってきたことを。
私は、取り返しの着かないことをやってしまった…
そして、シンジを騙してまで…
「マナ!」
「私はシンジ君のことが好きでした。デート、楽しかったです。ミサトさんちの夕食、みんなで食べる食事は最高です。でも、もう終わりにします。あなたを楽にさせてあげます。ごめんなさい…さようなら…シンジ君……」
それは、シンジへの、せめてもの罪滅ぼし。
もう、シンジを騙しながら生きていくことは出来ない。
だから…
だから、ムサシと一緒に死のう、と思った。
シンジが…
シンジが、私のことを忘れられるように…
そう思うと、心が痛かった。
とても辛かった。
すごく寂しかった。
本当なら、シンジのそばにいたい。
でも、それは許されない願い。
私には、その資格はなかった。
そして、私は消えるはずだった…
シンジへの想いと共に…
「…ここはどこ?」
「気づいたかい?」
「あなたは…加持さん?」
「ああ。ここは、ネルフの医療施設だよ。君は助かったんだ」
「私…私……どうして助けたんですか!!私なんて、あのまま……」
「君が死にたいのなら、俺は止めはしないさ。でも、君が死ぬことによって、悲しむ人はいる」
「私なんて……」
「シンジ君は、君に会いたがっているよ」
「……もう、シンジには逢えません。シンジのことを騙し続けて…傷つけて…」
「…君は、本当にそれでいいのかい?」
「許されないことなんですよね……シンジに逢うことは…」
「許す、許されるの問題じゃない。君がシンジ君に会いたいか、それを聞いているんだ」
「私だって!!私だって…シンジに…シンジに逢いたいです……」
「そうか」
「でも…でも……私は、シンジに逢う資格、ないですよね?」
「いや。好きな人に会うのは、誰にも許されていることだよ」
「でも…」
「とにかく行こうか。これがおそらく、最後になる」
「…最後?」
「ああ。つい今し方、俺が君のパーソナルデータに細工しておいた。これからは、名前も変わって、どこか、別の土地で暮らしてもらうことになる。それが、君を自由にすることが出来る、俺に出来る唯一のことだ」
「……なんで。なんで、私のためにそんなことするんですか?もしかしたら、加持さんの身が危ないんじゃ…」
「俺は大丈夫さ。ただ、君はもう、十分に苦しんだ。それで、今までの罪への償いは十分だと、俺は思っただけだ」
「……加持さん」
「それじゃ、行こうか。時間はあまり残されていないんだ」
「……はい」
「本当に逢えなくなるんだね…」
「……いつか、逢いに来るよ」
「待ってる………」
「マナ」
私は振り返れなかった。
振り返ると、涙がこぼれそうだった。
「マナ…好きだよ」
「俺が彼女を送っていくよ。ご苦労」
「ですが…」
「大丈夫だ」
「…はい。わかりました」
黒服の男と加持さんが話している。
どうやら、加持さんが私を送っていってくれるみたい。
「加持さん…私…」
加持さんの車の中。
まわりの風景が、どんどん飛んでいく。
私の見覚えのある景色から、全然知らない景色。
「加持さん…シンジ、最後に私のこと、好きって言ってくれたんです…」
「………」
「私…私、心から、本当にシンジに『すき』って一度も言えなかった……」
「……そうか」
私は泣いた。生まれて、初めてかもしれない。
心から泣いた。
「その写真、大事にしておくといいよ」
加持さんが、私が握りしめている写真を横目で見ながら言った。
「………」
言葉にならなかった。
「全てが…全てが終わった後、また逢えるさ」
「………」
「大丈夫だ。君とシンジ君が生きている限り、必ず逢える」
「……はい」
「俺に出来るのは、俺に言えるのは、ここまでだ。あとは、君たち次第だ」
「はい…また、必ず逢えますよね?」
「逢えるさ。君たちが、お互いがそう望んでいるのなら」
「シンジ………好きよ………」
This story and there desire are never end
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後書き
どうでしたでしょうか?これだ、私の中でのマナの心です。
あと、物語に、自分なりの補足をしています。
マナは、暗く辛い過去を背負っていた。と、私は思っています。
そして、少女は、成長していった、と思います。
とにかく、書いている私も辛かったです。
彼女が抱えていた、心の苦しみ。それがこれです。
これを読んで下さった皆さんは、何を感じられたでしょうか?
それでは。
Cooperation
イットロード
モーグリ
SAS
蒼馬
(敬称略)
PS・これを読んで、お怒りになる方も少なくはないと思います。
その時は、ま〜くさんの迷惑にならぬよう、私へ直接その旨をお伝え下さい。
GIDAさん、本当にありがとうございました!!
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までお願いします。