吐き出される蒼い煙。
ベッドに横たわっている二人。
少女は、安らかな寝息を立てている。
少年は、裸のままの上半身を起こして、タバコをくわえている。
「いつまでこんな事繰り返してるんだ…」
少年は、誰に言うでもなく、そう呟く。
「なぁ…」
隣で寝ている少女に話しかけようとして、やめた。
もう見慣れてしまった光景。
金髪の少女が、自分の隣で眠っている。
「……暇だな…」
少年は、煙を吐き出すと、そう呟いた。
Error
「なに考えてんの?」
「別に」
「うそ。シンジ、何か考えてる」
「なんでそう思うんだよ?」
「愛があれば、シンジの考えてることなんて、すぐわかるのよ」
「愛…か」
少年は、そう言うとタバコをくわえる。
少女は、すっかり板に付いたエプロン姿で、朝食の用意をしていた。
「なぁ」
「なに?シンジ」
「愛って…なんだよ」
「なんだよって…わからないの?」
「………」
少年は黙ったままタバコに火を付ける。
少女は思う。
今まで、何回こう言う会話を繰り返してきたんだろうか。
何が不満なんだろうか。
こうやって、二人で暮らしていて…
ガタッ
少年がイスから立ち上がる。
「シンジ…??」
「行って来る」
「朝御飯は??」
「いらない」
少年はそう言うと部屋を出ていった。
「……シンジ…」
少年は摩天楼の一角にあるスラムの壁にもたれかかっていた。
そこで、行き交う人や車の流れを見ているのか、
少年の視線は、サングラスに遮られて、周囲の人には知る由もなかった。
全てが終わって、ここに来たけど…
何を目標にしていけばいいんだ。
働くにも、何がしたいのかわからない。
ネルフからの給付金で暮らせるから、無理に働かなくても構わないし。
確かに、ここに来たばかりの時は、新しい暮らしに胸を弾ませたが…
今となっては…
少年がそんなことを考えていると、一人の浮浪者が少年にタバコを求めていた。
少年は、タバコをその浮浪者に投げつける。
浮浪者はタバコを拾うと、そそくさと少年の前から消えてしまった。
この街じゃ、誰もが希望を持ってないのか…
俺がこうなったのも、アスカがああなったのも、この街のせい…
いや、どこでも同じか…
少年は自嘲気味な笑みをこぼす。
そして、タバコをくわえる。
このまま生きていていいのか…?
こんな暮らしを続けていてもいいのか…?
少年のその問いかけに答えてくれるものは誰もいない。
少年はくわえていたタバコに火を付けた。
蒼い煙を吐き出す。
このまま生きていくのなら…
少年は、ふらり、と歩き始めた。
まるで、何かにとりつかれたように。
車のクラクションが聞こえる。
でも、少年にはそれが聞こえていないようだった。
不意に、襟首を引っ張られて、歩道に転がされた。
その反動で、少年のサングラスが車道に落ち、くわえていたタバコは、円を描きながら地面に落ちた。
車道に落ちたサングラスが、無情にも走ってきた車に轢かれて、粉々に砕けた。
「バカ野郎!てめぇ、死ぬ気か!?」
少年の襟首を引っ張った黒人が少年の襟をつかみあげて叫ぶ。
少年は、下を向いていて、長い前髪が少年の表情を隠している。
「聞いてんのか!?」
少年は、その黒人の言葉に顔を上げた。
その瞬間、黒人は背筋に悪寒が走るのがわかった。
少年の目は、死んでいた。
なにも見えてない、光を失った、濁った瞳だった。
「関係ないだろ?俺がなにしようが」
黒人は、少年のその目に思わず手を離した。
すると、少年はなにも言わずに歩道を歩いていってしまった。
黒人は、その少年の後ろ姿を見送りながら、呟いた。
「…可哀想に」
「あ。お帰り」
「なんだ…またやってんのか?」
「だってアタシ、あの時に汚されちゃったんだもん。これ以上汚れたって、構わないわよ」
「…なぁ」
「なぁに?」
「あの頃…俺達、何かを求めていたよな」
「何かって…???」
「わからないけどさ。たぶん、自分の安息とか、アスカが言う『愛』とか…自分の存在とか…」
「確かに、そうだったかもね」
「あの頃、俺達は確かに『生きて』いたよな…」
「生きて…かぁ」
「今、俺達は何やってんだろうな」
「何って…スモーク、ドラッグ、セックス」
「淡々と言うなよ」
「だって、本当の事じゃないの」
「…俺達、このままでいいのか?」
「さぁ?ただ、気持ちいいことだけやって…」
「それでいいのか?」
「いいんじゃない?気持ちいいことに逃げるって言うのは、人間らしいと思うけど」
「あの時逃げて…待っていたのが、これか」
「シンジ。おかしいよ?最近」
「おかしい??おかしいのはずっとだ。ここに来て、色々なことから逃げ出して…ずっとだ」
「シンジ…アタシがいるじゃない。それだけじゃ不満なの?」
「そう言う事じゃない…俺達は、なんのために生きてるか。それが知りたい…」
「誰にも必要とされなくなっちゃったものね…全て終わってから」
「アスカ」
少女は、少年の呼びかけに答えようとしたが、それを遮られた。
少年は、少女の身体を抱きしめた。
少女の手から、注射器が床に落ちて、小さな音を立てた。
「アスカ…俺についてきてくれるか?」
「………」
「アスカ……」
「……シンジの行くところだったら、どこにでもついて行くわよ。アタシにはシンジしか残ってないんだもの」
「そうか…」
床に落ちた注射器
一輪の枯れてしまった薔薇
作りかけの昼食
コップに入った少しの水
ベッド脇に置かれた睡眠薬のビン
火のついたタバコ
灰色の壁
一枚の写真
風にそよぐカーテン
脱ぎ散らかされた服
そして、赤色のカッターナイフ
これも、一つの終局
少年少女の苦悩の一つ
苦しみの形
後書き
どうも。GIDAです。
どうでしたでしょうか?はっきり言って、自分で書いていても自分を「くず」だと思いました。でも、こう言う未来が彼等に訪れる可能性もある。そう思って書いた次第です。
今回のテーマは「目標」です。生きる目標を見つけだすことを忘れたとき、こう言う風になってしまうのではないでしょうか?皆さんは、何を感じられたでしょうか?
それでは。
PS・この小説を読んでお怒りになる人がいると思われます。
その時の意見はGIDAに直接お書き下さい。他の人達にはご迷惑をかけないよう、よろしくお願いいたします。
GIDAさん、本当にありがとうございました!!
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