今年もあの日がやってきます。
日本の漢がなげき、Co-ギャルの財布が軽くなるあの日・・・。
そう、2月14日がもうそこまでせまっているのです。


  バレンタインデー特別寄稿?  せめて、XXXらしく。



さて聖バレンタインの日、当日。
いつものように早起きして食事の支度をさせられるシンジのところへ、アスカがやってきました。

「おはよ〜、シンジ!」
「あ、おはよう、アスカ。今日は早いね」

いつもならシンジがアスカの部屋へ入って、頬を真っ赤に染めて泣きながら走り去るシーンが堪能出来るのですが、
残念ながら今日は平穏無事な朝です。

(めずらしいな、N2爆雷でも降るかな?)

シンジが失敬なことを考えていると、アスカがいきなり話しはじめました。

「シンジ、今日は・・・」

しかしアスカの話は、いきなり現れた酔っぱらいによって途切れてしまいました。

「うぃ〜っす、シンちゃん! ひょうは何の日か知ってろ?」
「ミサトさん、朝から飲むとまた太りますよ・・・」
「・・・むぅ〜」

話を邪魔されて迷惑げなアスカを無視して、酔拳の達人がまくしたてます。

「ひょうはバレンタインデーよん。はい、シンちゃん。ひょこれ〜と!」

そういうとミサトは、ウイスキーボンボンを一つかみシンジに握らせました。

「ミサトさん、もうすこし渡し方ってものが・・・」

おもわずあきれるシンジ、毎度のことです。

「シンちゃんへは義理。ほんめ〜はアムロさんにあげるんらも〜ん!」
(アムロさん・・・)

この間の戦争で、シンジ達がロンドベルなるUNの特務部隊に出向した時、
ミサトが作戦参謀の立場を悪用して、MS隊隊長のアムロ・レイ大尉に猛アタックをかけていたことを、
シンジは思い出していました。

(あの時、僕はエヴァに乗るのが嫌で逃げたんだけど、
結局捕まって白目のない人にひっぱたかれたんだよな。
その時思わず「父さんにだって殴られたことないのに!」って言ったら、
横で見てたアムロさんがとても悲しそうな目で僕を見ていたんだ。どうしてかな・・・?)
物思いにふけるシンジなどおかまいなく、えびちゅの女神はぼけまくります。

「まってて〜アムちゃん! ベルトーチカやチェーンなんてあたしがかるくぶっ飛ばして、今度こそ結ばれる・・・あら? アスカぁ?」

二人は、アスカがいつの間にか部屋から消えていることに気がつきました。

(さっきアスカが何か言おうとしていたけど・・・)

シンジは不吉な予感がこみあげてくるのを、押さえることが出来ませんでした。







さて、今日もシンジとアスカは仲良く夫婦ゲンカ・・・いや、登校しています。

「アスカ、さっきどうして助けてくれなかったんだよ・・・」
「ミサトがああなったら、加地さんだって手がつけられないもの。仕方ないでしょ!」

めずらしく冷静な分析結果を述べるアスカ。シンジはさっきの話の続きが気になっていました。

「ねえ、僕に何か話があったんじゃない?」
「うるさいわねぇ! 人が話してるのに、あとから来た酔っぱらいに・・・」

こういう時には黙って話を聞いているのが生き延びるための方策であることを、シンジは経験から学んでいました。

「・・・ねぇ、シンジ聞いてる?」
「うん」

返事はしたものの、シンジはどうせいつもの話だと聞き流していました。
バカ甲児、暗黒大将軍嫌い、カトルぅ〜(ハァト)・・・みんな先の戦争で知り合った人ですね・・・。

「ねえ、今日はどういう日だか分かってるの!」

声の調子が変わったことで、シンジは、アスカがいつもとは違う話を始めたことに気づきました。

「知ってるよ、バレンタインデーだろ。去年はさんざんな目にあったんだよな・・・」

アスカからもらったチョコレートで大けがするという、
忌わしい事件を思い出してぼやくシンジをアスカが怒鳴りつけました。

「シンジ! あれはあたしがやったんじゃないからね!」
「それはもう聞いたよ・・・」
「まあいいわ。ところで今日のことだけど・・・」

しかしアスカの話は、いきなり現れたバカ二人たちによって途切れてしまいました。

「よう、シンジィ! 今日はバレンタインデーやなぁ」
「おはよう、シンジ。ロンドベルの人達からチョコもらったんだろ? 後で俺たちにもおすそわけ・・・」
「いや、その・・・あ、アスカ待ってよ!」

トウジとケンスケの邪魔に腹を立てたのか、アスカはシンジをおいて先に行ってしまいました。

(アスカ、何が言いたいのかな?)

自分の身の安全がかなり気になるシンジでした。







その日、学校屋上にて。

「碇君、これ」

レイがその辺の洋菓子屋で昨日よく見かけた箱を、シンジに渡しました。

「ありがとう、綾波」

シンジは感謝の言葉と、全国のXXXな女性を撃墜したあの微笑みをレイに返します。

「・・・碇君」

シンジの顔を睨みつけるレイ。やがて顔をシンジに向けるとこう言いました。

「これを、弐号機パイロットに渡すのよ」
「え!?」
「そうすれば、今度こそ碇君と私は一つに・・・」
「何だって!!」

昨年の惨事を思い出し恐怖にとらわれるシンジを残し、レイはあわてて階段を降りていきました。








図書室にて。

「碇君、これ、私の気持ちです」

マユミがうつむきながら、小さな箱と少し大きな包みをシンジに渡しました。マユミの体は小刻みにふるえています。
彼女にとって好きな人に贈り物をすることは、かなり勇気がいることだったのでしょう。

「山岸さん、ありがとう。こっちの包みは・・・」
「私の好きな本です。碇君に読んでもらえたら、と思って・・・」
「どんな本なのかな・・・えっ、『シンデレラ』!?」

それまでうつむいていたマユミが、急に顔をあげると真剣な表情で話しはじめました。

「・・・碇君。今度は私が小説の主人公になってあなたを助ける番です。
・・・私が王子になって・・・意地悪なお母さんや姉妹から、碇君を助けてあげます!」
(その意地悪家族って、ミサトさんやアスカや綾波の・・・)

文学少女特有の激しい思い込みに、シンジは頭を抱えてしまいました。

「必ず・・・碇君を助け出してみせます」

それからシンジとマユミはしばらく一緒に、図書室から見える山あいをながめていました。
にっこりほほえんで腕を組むマユミ。隣のシンジの顔がかなり引きつっていたことは、言うまでもありません。









下校時、校門にて。
学校が終わって、ネルフに向かおうとするシンジの姿がありました。

「アスカと綾波は先に行っちゃったんだよな。急がないと実験に間に合わないや・・・」
「シンジぃ〜!」

聞き覚えのある声にシンジが振り返ると、そこにはマナが小さな包みをかかえて立っていました。

「マナ、それは?」
「シンジのために持ってきたの。バレンタインの日に、ただチョコを贈るだけじゃつまらないでしょ? 
さあ、はやく中を見て!」

マナにせかされるままにシンジが包みを開けると・・・。

「え、指輪? マナ、これかなり高かったんじゃない?」
「へへ、それは内緒。それ、私のとおそろいだからね。」

そう言われてマナの指を見ると、今シンジが手にしている物と同じデザインの指輪をはめています。

「これは二人の愛の証。そうそう、次のデートの時にはかならずそれはめてくるのよ! エンゲージリングなんだから。いい?」
「え!?」
「じゃ、デートの件、楽しみに待ってるからね〜!」

マナはそういうとにっこり笑って走り去っていきました。

エンゲージリングって・・・式も婚約もしてないじゃないか・・・)

思わず頭を抱えるシンジの所へ、二人の少年がやってきました。

「あ、ムサシとケイタ! どうしたの?」
「シンジ君、ちょっとその指輪見せてくれる?」
ムサシはそういうと、シンジが今もらった指輪を調べはじめました。
「これ、僕らがもらったのと同じだね・・・」

ケイタが悲しそうに言いました。

「・・・」

三人の少年はうなだれてその場に立ちつくしていました。









ネルフに向かう道の途中で、シンジは今日の出来事を思い返していました。

(結局まともなものをくれたのは山岸さんだけか・・・そういえば綾波の時も山岸さんの時もマナの時も、
誰かに見られているような気がしてたんだよな。なにか物音も聞こえたような・・・気のせいかな?)

思わず振り返るシンジ。すると後ろから物凄い勢いで迫ってくる三人の男の姿が見えました。

(まさか?)

シンジは急いで逃げようとしましたが、あっさりと周りを囲まれてしまいました。

「よう、碇シンジ君。久しぶりだな」
「く、黒い三連星

先の戦争で死闘を繰り広げた男達と少年が、人気のない道路で睨み合っています。

「シンジ君、別に喧嘩をしに来たわけじゃないんだ」

リーダーのガイアがにこやかに話します。

「今日は『碇シンジ君を守る会』の代表として、女性会員からの贈り物を持ってきたわけだ。
本当は君が学校にいるうちに渡したかったんだが、機会がなくてね・・・」
「僕を・・・守る会・・・ですか?」
「そう。お前さんはもうひとりぼっちじゃないってことさ。しかし女性会員のメンバーを見たらぶったまげるぜ!」

マッシュはそう言うと、豪快に笑いました。

「そう、俺たち『守る会』の目印は、紫色だ。紫は君のパーソナルカラーだからな」

そう話したオルテガはあっけにとられるシンジに、手紙のついたたくさんの包みを渡しました。

「それじゃ、何か困ったことがあったら俺たちを思い出してくれ。またな!」

ガイアは別れの挨拶をすますと、仲間と共に走り去って行きました。

(そうか、学校で感じた気配はあの人たちか・・・僕を守る会・・・とりあえず手紙を読んでみよう・・・)

「碇シンジ君へ。あのような方々と毎日一緒では辛いことが多いでしょうが、くじけてはなりません。
いざという時は私が相談にのりますから、いつでもいらっしゃい。  貴方のよき姉、アイナ・サハリン」

「碇シンジ君へ。あんな根暗な連中と一緒じゃ、気が滅入るだろう。一度うちに遊びに来てみろ。
がらは悪いが、気はいいやつばかりだ。それでは何かあったらすぐ連絡するように。
あたしらいつでもあんたの味方だからね。
  シーマ・ガラハウと海兵隊一同

「碇シンジ殿。貴殿が御苦労されていることはいつもから聞いております。つきましては、
近日中にこちらへお迎えする用意を整えておきますが、よろしいか?
都合のよい日をこちらへ連絡すること。それでは御武運を。 キシリア・ザビ」

(たしかにみんな愛機や服が紫色だけど・・・これは・・・)

手紙を読み終えたシンジは、これから起るであろう災難に思いをめぐらし、その場にへたりこんでしまいました。









さて、ネルフで行われた実験が一段落ついた時、アスカがシンジを呼び止めました。

「ねぇシンジ、ちょっといい?」
「なに、アスカ?」
「あんたさぁ・・・」
(え?)

思わず身構えるシンジ。しかしアスカが次の言葉を言おうとしたとき、またしても邪魔が入りました。

「シンジ君・・・」

そこに現れたのは可愛らしいビューナスA・・・そう、リツコさんです。

「うわぁ! また変なもの着せられたんですね、伊吹さんに」
「そうなのよ・・・この間ロンドベルに行ってた時、
マヤはやたら格納庫でメカマンにあれこれ聞いてたのよ。
ようやく真面目に仕事する気になってくれたと思ったら・・・」

リツコは、いまにも泣き出しそうな声で話しかけます。

「今ね、シンジ君にプレゼントがあるってあの子が来てるのよ」
「僕にですか?」

シンジがそう言った時、彼方から不思議な音が聞こえてきました。
きゅっぽ、きゅっぽ、きゅっぽ・・・。

「ま、まずい!」

思わず顔が引きつるシンジ。
やがてピンク色の怪獣が、これまた大きな包みを持って現れました。

がおお〜!! シンジ君、まずはチョコレートです。どうぞ」
「あ、ありがとうございます、マヤさん」

そう言ったものの、シンジの顔には「迷惑」の二文字がはっきり浮かび上がっていました。

「あら、きれいなお姉さんの前だからって、そんなに緊張しなくていいのよ」

あいかわらずマヤはよく分かっていないようです。

「マヤさん、その包みは?」

シンジの問いに、マヤはうれしそうに答えます。

「今日はシンジ君にすてきな物を持ってきたの。特注だったんですからね」
マヤが包みを開けると、白いロボットらしき代物が現れました。
「ひ、ヒゲェ〜?!」
「そう、最近ヒゲが大人気だっていうから、これにしたの。
すごいわよ、ちゃんとビームライフルも撃てるし、ハンマーだって使えるんですからね。
やっぱりシド・ミードって天才ですよね〜・・・」
(あんなヒゲガンダムの格好で学校とか行けっていうの? 
そんなの恥ずかしくて死んじゃうよ・・・とにかくガメラの二の舞いはごめんだ!)

シンジは夢中になって解説を続けるピンクの珍獣のもとから、一目散に逃げ出しました。
アスカは、いつの間にか姿を消していました。
一方司令室では・・・。

「くそ、マヤにまただまされた・・・!」
「シゲルさん、ここはずすの手伝ってくれませんか?」
「碇、たしかお前と加持は、先の戦争で本部ごと吹き飛ばされたはずでは?」
「気にするな。話が進まん」

ボルジャーノンの格好をしたマコトの背中のジッパーを掴もうとする歌うバルキリー姿のシゲルを前に、
ゲッター2の着ぐるみを着せられた冬月とゲッター3のいでたちのゲンドウが渋い顔で語り合う、
という悪夢のような光景が展開されておりました。





夜になって、やっとのことで家にたどりついたシンジ。玄関に入ると、アスカが仁王立ちをして彼を待ち構えていました。

「シンジぃ、ちょっといい?」

シンジは朝から感じていた不安が現実になるのかと、体をこわばらせます。

シャア大佐にはどんなチョコレートあげたら喜んでくれると思う?」
「え?」

予想外の質問に驚くシンジに、アスカが話をつづけます。

「あの人、あたしの為にファンクラブ作ってくれたのよ。あたしのパーソナルカラーの赤を使ってる人に声かけてね。
会員は他にもライデンとかニムバスとかバスクおじさまとかいるんだけどぉ、
シャアは会長だから特別なものをあげたいわけ。あ、カトルも忘れちゃいけないわね。
そういえばファーストにも親衛隊が出来たらしいのよ。ラルってオヤジを隊長にして、ユウとかミーシャとか・・・」

ここまで聞いたシンジは、思わずその場にへたり込んでしまいました。

(アスカ・・・僕には何もくれないんだね)

シンジは、悲しくなってきました。

(ミサトさんはアムロさんを強奪することしか考えてない、
綾波はアスカを血祭りにあげることにすべてをかけてる、
山岸さんは自分の世界にこもってしまった、
マナにいたっては三つ又かけるありさま・・・そしてアスカは美少女殺しに夢中・・・
いくらマヤさんがかわいがってくれるといっても、ヒゲガンダムになるのはいやだ・・・
ここに僕の居場所はないんだ。もう宇宙でやさしいおばさんたちの世話になるしか・・・)

「ちょっとシンジ、話の途中よ!」

もうシンジには、アスカの声も聞こえていませんでした。シンジは自分の境遇に絶望しながら、ベランダへと向かいます。

「母さぁ〜ん!!」

思わず宇宙の彼方にいる母に呼びかけるシンジ。

(母さん、サードインパクトが起って使徒も出なくなって世間は平和だというのに、
僕は相変わらず不幸のどん底です。僕はどうしたら・・・)

その時頭上から、気合いの入った声が語りかけてきました。

「ワシがおる、ワシがここにおるぞぉ!!」
「!!」

その懐かしい声を聞き、シンジは、自分に今日一番の災難がふりかかったことを知りました。

「し、師匠!!」
「シンジよ、久しぶりだな」

紫色の装束に身を包んだ弁髪の男、マスターアジアがシンジに語りかけます。

「まあ見ての通り、ワシも『守る会』に所属しておってな。最近シンジが落ち込んでおると皆に聞いたので、今日は様子を見に来たわけだ」
「ありがとうございます」

そう言ったものの、シンジの顔には「終わった・・・」という文字がはっきり浮かんでいました。

「見た所、かなり元気がないようだな・・・よし、ここは『守る会』の意地にかけてワシがお前に、
拳の道のなんたるかをじっくり教えてしんぜよう。これで少しはシンジも男らしくなるというもの。ゆくぞ、シンジ!」

そういうが早いか、マスターはシンジの襟首をつかんで夜空へ飛び上がります。

「助けてぇ、母さ〜ん!!」

シンジの悲鳴がひびきわたるなか、星々はシンジに同情するかのように夜空を照らしておりました。












せめて、男らしく おわり。



あとがき:
すみません、スーパーロボット大戦シリーズやってないと、どうしてこういう面子とシンジが面識あるのか、
わかりづらいですね(ミサト&アムロとか)。
ちなみにシンジがブライトに修正されるシーンと、素手で敵ロボを倒す師匠にシンジがあこがれるシーンは『F』に出てきます。


猛魂さん、本当にありがとうございました!!

猛魂さんへの感想メールを!
u2162481@urawa.cabletv.ne.jp
までお願いします。


「投稿作品展」へ戻ります。