注意
この作品には、15歳以下の方には不適当な表現が含まれておりますので、
御覧になることを、ご遠慮頂きます様お願い申し上げます。
柴レイ
天使と悪魔の間に・・・
(R指定)
(この前、シンジが家に来たわよ。)
・・・・・・・・・
(あの子ったら、何をするかと思えば、あなたの眼鏡をかけていたわ。)
(ビックリするぐらい似ているのよ。あの脅えたような顔・・・)
(裸の女の子が恐いのかしらね・・・普通欲情するんじゃない?)
・・・・・・・・・
(あの時のあなたと一緒。みっともなくうろたえちゃってさぁ・・・)
・・・・・・・・・
(ったく、情けない所ばっかりにてくるのよねぇ・・・)
(あの子に出来るのは、人形にむかってあんたの悪口を云うだけ・・・)
(それで、ひっぱたかれちゃってんだから・・・ほんと情けない!)
・・・・・・頼む・・・・・・もう勘弁してくれ・・・・・・
(ふざけんじゃないわよ!あんたがそんなこったから、あの子が・・・)
「レイ・・・」
「はい・・・」
「サード・チルドレンの様子を見にいってきてくれ。」
「・・・わかりました。」
「あんなことの後だ、おそらくもう嫌だと駄々をこねる事だろう。」
「その時は、私はどうすればいいのでしょうか・・・」
「初号機には自分が乗ると云えばいい。パーソナルデータの書き換えはすぐだと。
それだけで十分だ、あいつは自分がまわりから相手にされなくなる事がなによりも苦痛の様だ。
捨てられると脅してやれば、命の危険など二の次で、なんだって言い成りになるだろう。」
「それでは、今回私は戦わなくてもよろしいんですか・・・」
「レイ、おまえは戦闘にはむかん。そんなことよりももっと大事な事がある・・・
サード・チルドレンが使えなくなったら、ドイツからセカンドを呼ぶまでのことだ。
すでに手は打ってある・・・・・・なにも問題はない。」
「・・・はい・・・碇司令・・・・・・・・・」
「分かったらはやく行け・・・・・・・・・今度、また可愛がってやる・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
(人形フェチが・・・反吐がでるわ・・・)
「綾波は何故これに乗るの?」
「絆だから・・・・・・」
「絆?」
「そう・・・・・・絆」
「父さんとの?」
「みんなとの・・・・・・」
「強いんだな・・・綾波は・・・」
「私には、他に何もないもの・・・・・・」
私には本当に何もない・・・・・・あの人との絆が無くなったら・・・・・・あの人を通して得た絆を無くしてしまったら・・・・・・
私は本当の人形になってしまう・・・・・・私が私でなくなってしまう・・・・・・恐い・・・・・・
私以外の誰かを感じる・・・・・・私の中にいる・・・・・・誰なの・・・・・・恐い・・・・・・恐くてたまらないの・・・・・・
私が恐い・・・・・・助けて・・・・・・お願い・・・・・・誰か私を・・・・・・私は何者なの・・・・・・
「・・・・・・さよなら・・・・・・」
「・・・自分には・・・他に何もないって・・・そんな事云うなよ・・・」
「・・・どうしてこんな事をしたの・・・霧島さんの事知ってたんでしょ・・・」
「別れ際にさよならなんて・・・悲しい事を云うなよ!」
「碇司令の・・・みんなのいう事に逆らって・・・二度とこんな事はしないで!」
「ごめんなさい・・・こういう時どんな顔をすればいいのか解らないの・・・」
「僕はどうすれば良かったんだろ・・・どんな顔をしてみんなに会えばいいんだよ・・・」
「笑えばいいと思うよ。」
(あんたは、ただの笑い者よ。)
「レイちゃん、いいわね!・・・私が出てしばらくしたら、あの女のところに行くのよ。」
「ばあさんはしつこい・・・ばあさんは用済み・・・」
「そう、云ってやるのよ!・・・あの用済みばばあに・・・」
「ばあさんはしつこい・・・ばあさんは用済み・・・」
「そうよ、あの用済み女!・・・私はもう一人で生きていけるわ・・・大きなお世話なのよ・・・」
「大きなお世話よ・・・ばあさん・・・」
「・・・・・・なに?」
「一人で帰れるから放っといて・・・ばあさん・・・」
「人のことばあさん、なんて云うもんじゃないわ。」
「だってあなたばあさんでしょ!」
「怒るわよ・・・碇所長に叱ってもらわなきゃ。」
「所長がそう云っているのよ・・・あなたのこと・・・」
「・・・・・・!」
「ばあさんはしつこいとか・・・ばあさんは用済みだとか・・・・・・」
「・・・・・・」
(所長が云っているのよ・・・あなたのこと・・・)
「・・・・・・あなたが死んでも代わりはいるのよ・・・レイ・・・」
「・・・・・・私が死んでも代わりはいるもの・・・・・・」
綾波レイ。14歳。
マルドゥックの報告書によって選ばれた最初の被験者。
ファーストチルドレン。
エヴァンゲリオン零号機、専属操縦者。
過去の経歴は白紙。
全て抹消済み・・・・・・
「いい子よ、とても。あなたのお父さんに似て、とても不器用だけど。」
「・・・不器用って、何がですか?」
「生きることが。」
「私は人形じゃない。」
「うるさい!人に云われたまま動くくせに。あんた碇司令が死ねと云ったら死ぬんでしょ。」
「そうよ。」
「私はあなたの人形じゃない・・・・・・私はあなたじゃないもの・・・・・・」
「頼む! 待ってくれ、レイ。」
「だめ、碇くんが呼んでる。」
(あら、あのひとはとても可愛い人なんですよ。)
(ATフィールドを失った・・・・・・自分の形を失った世界・・・・・・)
(どこまでが自分で・・・・・・どかこら他人なのか分からない、曖昧な世界・・・・・・)
(これが私の望んだ世界・・・・・・そのもの。)
「でも、これは違う・・・違うと思う。」
「・・・・・・・・・もういいのね?」
「人が神に似せてエヴァを造る。・・・これが真の目的かね。」
「はい、人はこの星でしか生きられません。
でも、エヴァは無限に生きていられます。その中に宿る、人の心と共に。
例え、50億年たってこの地球も月も太陽さえなくしても残りますわ。
たった一人でも生きていけたら・・・とても寂しいけど生きていけるなら・・・」
「さようなら・・・母さん・・・」
宇宙の闇へと消えていくエヴァ・・・
真に補完された魂は、永遠の流れの中に消えていった・・・
ひとりぼっちで・・・今迄と同じように・・・
それを見送る・・・残された魂・・・
少女の瞳は、幾ばくかの哀れみと・・・そして・・・
「・・・ねえ、知ってた?」
「なにを・・・」
「あの人達が、あなたのことをなんて云ってたか・・・」
「・・・・・・」
「あいつは口だけだ、信用できない。なにも分かっちゃいないんだ・・・無理だよ。」
「・・・・・・」
「別れた方がいいわよ。なんであんなつまんない男と付き合っているのよ。」
「(おまえから、そんな事を聞かされるとは思わなかったな・・・皮肉なもんだ・・・)知ってたよ。」
「ちょっと、なに硬くしてんのよ・・・真面目な話をしてんのよ。」
「こんなこと、僕にいえた柄じゃないけど・・・」
「その口癖やめたら・・・うっ・・・そういう逃げ道をつくる・・・無責任な・・・はぁ・・・」
「僕には、君がお似合いさ・・・あいつらも僕たちぐらいにしか相手にされてないしな。」
「ずいぶんな自信ね・・・そこ・・・そこよ・・・・・・はあ・・・もう少し・・・・・・うっ・・・」
「誰も自分のことを、分かってはくれない・・・ただ誤解だろうとなんだろうと、理解してくれようと努力してくれてる・・・
自分のことを分かったような気でいてくれてる・・・そう気がついたとき痛快な気分になるんだよな。」
「ちょっとぉ・・・なによぉ・・・なに勝手に満足しちゃってるのよ・・・いってもいないくせに・・・」
「なにも分かっちゃいないくせに・・・偉そうなことをいうな・・・」
「このインポ!・・・いいかげんにしてよ、わたしまだいってないのよ・・・」
「くだらないことを言い出したのは、おまえの方じゃないか。」
「ほんと、最低の言い訳ばっかりはたっしゃなんだからぁ・・・」
すべてが崩壊し、廃虚の様になった世界。
遠くには巨大なレイの頭部があり、死海の様に赤い海にはエヴァシリーズが突き立っている。
その浜辺には一人の少年と、右手と左目に包帯をまいた少女がならんで横たわっていた。
少年が沖の方に目をやると、波の上にレイが立っているのが見えた。
しかしその姿は幻の様に、瞬時に消えてしまう。
少年はおもむろに、隣の少女の上に馬乗りになると、か細いすぐに折れてしまいそうな首を絞め始めた。
うめき声をあげる少女の表情は変わらない・・・しかし包帯にまかれた右手が少年の頬にふれる。
少年は首を絞めるのを止め・・・声もなく泣き始めた・・・
やがて、見開かれたままだった少女の目が動き少年を見た・・・そして・・・
「気持ち悪い・・・」
「どいて・・・重いから・・・」
「・・・・・・」
「私の事・・・やるんじゃなかったの・・・やる気もないんだったらどいてくれる。」
「・・・・・・」
「なんとかいったらぁ、バカシンジ!」
「・・・・・・!」
「どうしたのよ?」
「いいかげんにしろ!!! 綾波!!!」
「・・・えっ・・・」
「どういうつもりだよ!希望じゃなかったのかよ!・・・アスカを返してよ!・・・みんなを返してよ!」
「碇くん・・・」
「アスカの格好なんかして、なんなんだよ・・・このバケモノ!・・・もう僕を開放してよ!
母さんの次は、今度は綾波が僕に付きまとう気かよ!・・・・・・もう嫌だよ!」
「わたしは・・・わたしは・・・」
「アスカぁ!どこにいるんだよぉ、お願いだから僕を助けてよ・・・・・・・・・カヲル君!」
「・・・・・・」
「カヲル君・・・カヲル君・・・どこにいるんだよぉ・・・カヲル君・・・どこだよぉ・・・」
「うるさいわね!黙れこのオナニー野郎!」
「カヲル君・・・カヲル君・・・」
「カヲルなんてどこにもいやしないわよ。タブリスというのは、あんたが望んだあんた自身の理想の姿よ。」
「カヲル君・・・いないの・・・・・・どおしてだよ・・・どおして僕を助けに来てくれないんだよぉ・・・」
「あなたは、第十七使徒の力を借りて自分を補完しようとしてたのよ。
自分の好きな世界に逃げ込もうとして、だけど失敗した。わたしは一部始終を見ていたわ。」
「・・・カヲル君・・・・・・」
「結局なにかをはじめようとしては、すぐに自分で止めてしまう・・・壊してしまう。」
「アスカぁ・・・」
「愛されてもいない女を自分と同じだと思いこんで・・・勝手につきまとって・・・汚して・・・壊そうとする・・・」
「・・・・・・」
「だから、あなたの望み通りにしてあげたんじゃない・・・カヲルにも会わせてあげた・・・
いつでも好きなようにやれる・・・そんな姿になって現れてあげたのに・・・なにが不満なのよ・・・」
「綾波は・・・なにが欲しいんだよ・・・僕にどおして欲しいんだよ。」
「アダムは勝手に補完していったわ・・・わたしは今空っぽなのよ・・・やっと一人になれたというのに・・・落着かないの。」
「僕に父さんの様になれっていうのかよ。」
「そうね・・・あの人はアダムの為に全てを捧げていたわ、彼女の心のすきまを埋める様努力をしていた。
あんまり一途だから、アダムは自分がエヴァと一体化したあとリリスを与えたのよ。
でもあの人は、アダムだけを愛していた。私をめちゃくちゃにしただけではなく、赤木親子も壊していった。
アダムは楽しんでいたわ・・・気が向いたときに私に憑依して、愚かなリリン達を弄んでいた。
だけどアダムは最後に誤った、あんなに自分に一途だったあの人を見捨てて、あなたと生きようとしたのよ。
そしてあなたに振られた・・・アダムはこれからずっとひとりぼっちで生き続けるのよ。
・・・・・・私はそんな間違いはしない!」
「綾波・・・」
「さあ、どおして欲しいの・・・またこの前みたいにみんなに拍手されてみたい・・・」
「もう・・・あれはこりごりだ・・・」
「そう・・・少しは学習しているのね・・・いいわ・・・焦らなくてもいい・・・私はいつだってあなたの望み通りの世界を与えてあげる。」
「・・・・・・」
「好きなように念じればいい、自分の描きたい世界を・・・なんどでも書き直しの出来る世界を・・・」
「綾波がそれを望むなら・・・」
「そうよ、これは私の望んでいることなのよ・・・私は一人ぼっちじゃない・・・あなたが世界を望む限り・・・」
「うん・・・」
「楽しみ・・・あなたは今度はどんな世界をみせてくれるの・・・」
「ええ〜!先輩とレイちゃんが同じ屋根の下に・・・」
柴レイさん、本当にありがとうございました!!
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