真っ暗な一室、一人の女性の息遣いだけが聞える・・・
考えてみれば光のささない独房は非常に残酷だ、そこでは全ての時間が止まっているのである。
十分は一時間に、三十分はまる一日に、一時間は一ヶ月に感じられるという、
はたしてその独房に、既に一ヶ月にわたって閉じ込められている彼女には、一体どれだけの時が流れたのだろう・・・










不意に明かりが灯った・・・

「先輩・・・」

その声に、独房の主の身体がピクリと動いた。
しかし声は返さない・・・しばしの沈黙・・・たえきれずに伊吹三佐嬢が語り始めた・・・

「今のネルフは、葛城ミサトさんが新隊長として取り仕切ってはいます・・・けどぉ・・・」

「加持さんは再び姿を消して・・・葛城隊長はすっかりやる気を無くしていて・・・」

「毎日酒を飲むか・・・あの子達を雀荘に連れまわすか・・・怠惰ここに極まれりな生活振り・・・」

「ネルフは・・・ばらばらです。」

「・・・そう・・・」

その声に、マヤの心がはじけた・・・それとともに声も・・・

「そうなんですよぉ、わたしは自分の出来る事はすべてやっています!大好きな着ぐるみも最近着てはいません!」

「でもでもぉ・・・わたしがどんなに頑張ったって・・・先輩がいた時みたいには・・・わたし一生懸命やっているんですけどぉ!」

「先輩ぃ・・・帰って来て下さ〜い!わたしもう・・・もう・・・」

「マヤ・・・どうして・・・」

「脱出はいつだって出来るんですよぉ・・・葛城隊長は独房警備なんて適当でいいって云ってました、だから先輩しだいなんです!」

「わたしが出たって、どおせミサトのやけ酒に付き合わされるだけでしょ。あなたはどうしてそんなに頑張っているの・・・」

「えっ」

「ネルフその物がもう終わりなのよ。使徒はもう来ない・・・司令の計画ももはや実現はない・・・」

「でも・・・でも・・・」

司令に副司令はどうしてる・・・年をとったんでしょう・・・そうそれが今のネルフの姿よ。」

「先輩ぃ・・・」

マヤの声が涙声に変わっていく・・・

「目的を失った、組織は老朽化を迎えるだけ・・・税金の無駄遣いだわ・・・そうね、それでも活動していくには・・・税金を貰うには、
怪しげな宗教団体にでもなるしかなかったかもね。マヤ、レイでも教祖に祭り上げてみたら・・・もうやってるのかしら・・・」

灯かりが突然に消えた・・・










リツコは再び一人ぼっちになった。
しかし独房には、今迄のような泣き声はない・・・

「ふふふ・・・無様な子、あの子が私を驚かしたのは怪獣になった時だけね。そう・・・わかったわ、みんな寂しいのね。
ミサトも自分を持て余しているのね。せっかくチャンスを与えてみたのに・・・しょうがないわねぇ・・・くくく・・・」










怪獣マヤちょん VS 超獣マナちゃん

(M指定)←なんだそりゃ











「おまえは俺を信じなさい、ほれ信じなさい、ほれ信じなさい♪ おまえも俺を信じなさい、ほれ信じなさい、ほれ信じなさい♪」

モニターの中に、薄汚れた格好をした髭の男が、小さな子供達に囲まれながら唄っているのが映し出されていた。
それを見つめていた妙齢の新隊長は・・・

「なにやってんのかしら、そのうち『空は黄色だ!花は死んでいる!』とでも云だすつもりなのかしらね。」

「隊長!これはやはり異次元人の陰謀なんでしょうか。まさか子供達の身になにかがあっては・・・」

「日向くん、まだ昨日の酒が抜けてないの。電波な事云ってんじゃないわよ。」

「すみません。(ミサトさんに朝まで突き合わされて元気に出勤しているだけでも奇跡だよ。青葉は病院だし・・・)」

「ぽちっとなぁ・・・ぐびっぐびっぐびっぐびっ・・・ぷっはぁ〜・・・・・・それより、リツコの消息はまだつかめないの。」

「(この人の肝臓は・・・)ははい、それがまだ・・・諜報二課が全力をあげて追っているのですが。」

ほろ酔いかげんの新隊長は、いまいましげに近くの壁を蹴り上げると。不機嫌そうに椅子に足を組みながらすわった。
そして、日向に向かって睨み付けると、あごを軽く上げる。
日向はそれを見るや、敬礼の格好をした後、後ろをむいて中央作戦司令室を退出した。
室内には他には誰もいない。新隊長は、黙ってモニターを見つめていた。

モニターの中では、やはり予言者のような怪しげな台詞をのたまった髭オヤジが、子供達を賽の河原へと連れていっていた。
そして烏というか、鵺のような鳴き声とともに、忽然と姿を消す・・・
モニターの前の新隊長は・・・・・・酔いつぶれて眠っていた・・・・・・

髭オヤジはあちこちに現れた、そして怪しい唄で子供達を集めては、姿を消していた。
ある場所では、白髪の老人が笛を吹きながら現れ、やはり子供達をさらっていった。ネズミ退治を頼んだ覚えはないのに・・・
またある場所では、茶色の髪の美少女が出現、『さあ、あなた達は神様に選ばれたの、イエルサレムに向かうのよ。』と語り、
子供達に少年十字軍の格好をさせた上で、姿を消していった。いやぁ〜それぞれ好みのやり方があるもんである。

ネルフのもとに、政府からの嘆願書が集まっていた・・・なんとかしてくれー、助けてくれー・・・
葛城隊長は、それらに沈黙をもって答える。ネルフにも対処しようがなかったのである。そりゃそうだ!
彼女の酒の量は増える・・・青葉に続いて、日向も急性アルコール中毒で病院へ。ネルフは活動停止状態だった。

姿を消した子供達はどこへいったのだろう・・・誰にもわからない・・・
毎日確実に地上から子供達の数が減ってく・・・そして・・・夜空の星が・・・いつもより多く輝いていた・・・

「わかる訳ないわ・・・ふふふ・・・ネルフのばか者にはね・・・」










「バカ!なにやってんのよ!あなたは死なないわ!私はシンジくんの事が好きでした!バカ!なにやって」

携帯電話が叫んでいる、シンジは応答ボタンを押した。

「はい、碇です。」

「シンジ!・・・あなたに会いたい・・・グスン・・・お願い来て・・・」

「マナ!?・・・マナなの!・・・どこにいるんだよ。みんな探しているんだよ。」

「シンジぃ・・・ううう・・・会いたいよぉ・・・」

「マナぁ!」

携帯電話に叫びながら、シンジは部屋の外に駆け出していった。
それを見つめる青い瞳と、赤い瞳・・・二人の少女が後を追う。










いっぽうすっかり錆びれた洋館では、一人の女性が着ぐるみを見つめていた。

「もう・・・二度とこれを着る事はないと思っていたのに・・・ガスボンベも満タンね・・・そして最後の切り札も・・・」

これを着たら、もう二度と人の姿に戻れない・・・筈はないのだが、まるでその様な決意をもって彼女は袖をとおした。

「変身・・・がおお・・・

洋館を突き破る・・・訳はなく、ドアを丁寧に開けて、鍵をしめたのを確認して、怪獣は出動した・・・

きゆっぽ!きゅっぽ!きゅっぽ!・・・ドタ!・・・「痛あああい!」・・・きゅっぽ!きゅっぽ!きゅっぽ!・・・・・・










第三芦ノ湖には雪が舞っていた・・・一人の少女がそんな中たたずんでいる。
声をかけようとしたシンジに、悲しげな歌声が聞えてきた・・・

「The hardest thing I've ever done is keep believing・・・There's someone in this crazy world for me・・・」

バキ!

「痛ぁい・・・なにすんのよぉ!」

「その歌は、私がLRSの一番いい場面で歌うのよ・・・勝手に使わないで・・・」

「あ・・・綾波ぃ、どおしてここに・・・」

「わたしもここにいるわよ!」

「アスカまで・・・」

「シンジ!どういう事・・・一人で来てって約束したのに・・・」

「ご・・・ごめん、マナ。そのつもりだったんだけど・・・はうう・・・」

「バカシンジは黙ってなさい。マナ、あんたがリツコとグルになっておかしな事やってんのは分かってんのよ。」

「そう・・・それで碇くんを一人でこんな所に連れ出して、なにを企んでいるの・・・」

「ふふふ・・・」

「なにがおかしいのよ!」

「博士には、シンジくん一人を連れ出せれば充分だと云ってたのに、三人お揃いとはね。」

『よくやったわ、マナ!』

「その声は、赤木博士・・・」

アスカ様とレイちゃんの注意がその声に引かれた瞬間に、マナちゃんは突然芦ノ湖に飛び込んだ。

ドボ〜ン!

「あっ、マナぁ」

「霧島さん!」

「ピンクの象さんがプカプカ浮かんでる・・・うわぁい・・・ルーシーがダイヤをもってお空に・・・」

ジャボジャボジャボ・・・バシャー・・・ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・

「ギャァンゴォ・・・ギャァンゴォ・・・」

突然湖が泡立つとともに、茶色の皮膚にあちこちにトゲトゲの様な突起をつけた怪獣が出現した。

『違うわ、これは怪獣ではないわ。超獣よ。』

「なにを考えてんのよ、リツコ!気でも違ったの・・・もともとそうだったけど。」

『ほんとうは、空をガラスが割れるようにして登場させたかったんだけど、これじゃぁベムラーみたいでださいわね。』

「そういう問題じゃないでしょぉ!!!」

「碇くんがいない・・・」

『超獣マナちゃん、時は来たわ。おもいっきり暴れなさい。』

「ギャァンゴォ・・・ギャァンゴォ・・・」

超獣マナちゃんは、陸にあがった・・・アスカ様とレイちゃんは黙ってその姿を見ているしかなかった。
その時である・・・メーサー砲をつんだ戦車が現れた。
戦車を操縦するは、正義に生きるおねいさん、葛城隊長!

「ぷっはぁ〜いっくわよん。」

「ミサト、やめてぇ!あれはマナなのよぉ!」

アスカ様の叫びは、戦車を飲酒運転している隊長には当然届かない。

「ひっく・・・メイシャァ砲、発射!」

ちゅびいいいん

「やめてぇ・・・・・・あれ・・・・・・」

「ほへ!?」

「だめなのね。」

メーサー砲はなぜか、超獣マナちゃんをすり抜けていった、効果なし。
超獣のトゲトゲからミサイルが発射される、まっすぐ戦車にむかって・・・

「なによぉ・・・ひいい・・・」

ドカ〜ン

戦車大炎上・・・泣顔ドクロが立ち上り、すすだらけの隊長がトボトボと現れ、アスカ様の前でぶっ倒れた。

「ギャァンゴォ・・・ギャァンゴォ・・・」

超獣マナちゃんは誇らしげに、空にむかって吠える。もはや人類に明日はないのか・・・

「わたしが、リリスの力を解放するしかないのかしら。」

「やめて下さい、ファースト様。それだけは・・・それだけは・・・シンジはどこに行ったのよぉ!」

「むにゃ・・・シンちゃん、また逃げたのぉ・・・大人のキスの続きはまだなのにぃ・・・」

「あんたは黙ってなさい!あああ、こんな時に加持さんがいてくれたら・・・」

『超獣マナちゃん、まずはネルフ本部の破壊ね。ゆきなさい!』

『そうは、いかないですぅ!』

『えっ?』

「がおお・・・がおお・・・」

子供達の仲間、ピンクの怪獣登場。体長40メートル、体重1万5千トン。
いきなり火炎放射・・・しかしまたもやその攻撃は、超獣の身体をすり抜けた。
正面で対峙する、怪獣マヤちょんと超獣マナちゃん・・・

「どうして伊吹三佐は、都合よく巨大化できるの・・・もう赤木印の怪しげな薬は飲まない筈なのに・・・」

「それはね、人類のピンチを自分が守らなければならない・・・という強い意志が、彼女を巨大化させたんだろう。」

「えっ・・・加持さん。そんないいかげんな理由で・・・ていうか、何故ここに・・・」

「こんなこともあろうと思っていてね・・・子供達を安全な場所に避難させていてよかった。」

「そ・・・それじゃあ、消えた子供達は・・・」










「なんにも知らない子供達に罪はないしね。」

「だから、子供達を安全な場所に隔離したんですね。あんな奇妙なやり方で・・・」

「そう、それで満を持して、超獣を出現させたのよ。こうでもしなければ、ネルフの存在意義がないでしょ。」

「自作自演って訳ですか、考えてみたら使徒の出現も、父さんの自作自演だったんだしね。」

「そこまで分かっていたの、大人になったわね。シンジくん。」

「だからってこんなやり方ってないでしょう。だいたい、マナが可哀相じゃないですか!」

シンジの眼が怒りに燃えている・・・う〜ん、シンちゃん!今回はカッコイイぞ!
しかし、マッドな科学者の役割に酔っているリッちゃんは、その問いには答えない。

「しかし、ミサトも無様ね・・・やはり使徒を倒し、お父さんの復讐を成し遂げた時点で、彼女は終わっていたのね。」

「終わっているのは、リツコさん。あなたではないのですか!」

「ネルフが華々しく超獣とドンパチしてくれたらと思ったんだけど、このザマとはね。
ネルフ本部破壊まで、マナには頑張ってもらおうかしら。」

「マナは、どこにいるんですか?」

リツコさんの表情が、一瞬驚きに変わる。すぐに冷静な表情に戻ったが。

「シンジくん、何を云っているの。マナは、芦ノ湖でマヤとじゃれあっているじゃない。」

「あれはマナじゃない。あの超獣は幻だ、実体はここにいる筈!」

「シンジくん、何をばかな事を・・・」

「もう、終りにしましょう・・・赤木博士・・・」

「マナ!」









































「マナちゃん、どおして出てきたの。あなたは、ただ超獣が活動停止するまで隠れているだけでいいのに。」

茶色い髪が濡れたままの少女が、二人の前に現れた。シンジは掛け声と共に、少女に駆け寄る・・・
抱き付きこうと・・・いや倒れ掛かる様に、少女の足元にシンジはすがり付いた。
慣れないキャラを演じすぎて無理がたたったのか、急激に子供化するシンちゃん。

「マナぁ・・・心配していたんだよぉ・・・僕・・・僕ぅ・・・」

「よしよし・・・(しかしこの男は、天性の甘え上手。女ったらしね・・・)わたしは大丈夫よ、シンジ!」

「マナ・・・あなたまで、わたしを裏切るの・・・」

「そうじゃないわ、赤木博士。もう、これ以上は無意味だと思ったから。」

「無意味ってどういうことよ。」

「うわわわん、マナぁ・・・マナぁ・・・マンマ・・・はうう!」

「いいかげんにしなさい。こんのバカたれわぁ!」

調子に乗ったシンちゃんに必殺のマナ・クロウが炸裂。リンゴを潰すというその握力に、碇シンジ・・・沈黙。

「ったく、もう・・・あっ・・・コホン・・・話を続けるわね。そもそもネルフその物が、もう存在意義をなくしているのよ。」

「・・・・・・」

「博士の作戦が功をそうして、ネルフが超獣と華々しく戦ったとしても、超獣がいなくなれば、はいそれまで。
もともと、モノリスの頭のおかしい連中の妄想と、司令、副司令の邪な企みで成り立った組織なんでしょ。
もうそういう低俗な計画は水泡に消えたんだから、ネルフだって組織解体されるべきなのよ。
人類を侵すような、バケモノはもう現れる事はない。わたし達は、平和な世の中を再建する為に力を合わせなければいけないの。
そう・・・わたし達が戦わなければいけないのは、人の心にまだ巣くっている暗い欲望に対してなんじゃないかしら。
その象徴たる、あのふざけたピラミッドはまっさきに破壊すべきなのよ。博士が一番解っているんでしょう。」

「云いたい事は、それだけ。それじゃ、あんたの所属していた戦自はどうなのよ。」

「戦略自衛隊は、本当の平和を望んでいない、為政者の虚栄心の産物よ。世界中でなんの役にもたたない、邪魔でしかない、
ああいう軍隊をいまだに税金で存続させている。まっとうな人にはまさに忌むべき存在よね。反吐がでるわ。
あんなところに所属していたなんて本当に恥ずかしい。ネルフのみんなは違う筈でしょう。博士は違うんでしょう。」

「わたしは・・・わたしは・・・」











「リッちゃん、悔しいだろうけど、霧島くんの云うとおりだな。」

「リョウちゃん・・・あっレイ、アスカ、それにミサト・・・無様ね。」

リツコさんの前に、加持さんに、彼の背中でイビキを立てて鼻ちょうちんを膨らましているミサトさん、そしてアスカ様にレイちゃん。
彼等の顔は、みんな晴々としていた。怒りといった物は微塵もない。
アスカ様は、地面に横たわるシンちゃんの姿をみるや・・・笑いながら

「バカシンジ!こんな所に逃げ込んでいたのね。ざまぁないわ。」

そういって横っ腹を軽く蹴飛ばす。するとシンちゃんは、幸せそうな寝言をたたて

「ううん・・・ミサトさぁん、もっと優しくしてよぉ・・・むにゃ・・・」

なぜか、加持さんの背中のミサトさんの寝言もシンクロする

「シンちゃん・・・大人のキッスの続きは、結構痛みを伴うものなのよん。痛いのは最初だけだしぃ・・・くすくす・・・」

「碇くん・・・あなたは、葛城隊長と何をやってんのよ。お猿さんだけではなくて、おばさんとも浮気していたの。」

「そうよ・・・今の寝言はどういう意味よ。起きろっ・・・こんのぶぅわかぁシンジ!」

レイちゃんの怒りのアキレス腱固めに、アスカ様のエルボードロップがシンちゃんを襲う!

「はうあ・・・痛いぃぃぃ・・・足が折れるぅ・・・綾波ぃやめてよぉ・・・僕が何をしたっていうんだよぉ・・・うわあああ・・・」

レイちゃんに足を絞り上げられながら、アスカ様に往復びんたをされるシンちゃん。
可哀相な光景の筈なんだが、何故だか微笑ましく思えてしまう。不思議なチルドレン達である。
マナちゃんは笑っていた・・・加持さんも・・・ミサトさんの寝顔も。
それにつられたのか、リツコさんもクスリと笑った。眼には涙が浮かんでいたが。

「そうね。もうこのくらいが潮時ね。この子達とミサトを見ていたら、なんかもうバカバカしくなってきたわ。」

「そうだよ、リッちゃん。俺が第三新東京市に戻らなかったのは、君や葛城が未だにネルフにこだわっていたからなんだ。
もう終わりにしようぜ。これからは霧島くんをはじめとする彼等の世代が新しい世の中を作っていくんだ。
俺達の役目は、その為の下ごしらえをする事だと思う。それに背中のこれ、俺一人じゃ大変だよ。
幼なじみのよしみでさぁ、リッちゃん手伝ってくれないかな。なっ・・・このとおり・・・頼むよ。」

「博士、わたし達はまだ子供です。お願いします。まだまだ色々な事を教えて下さい。あんな風には、なりたくはないけど・・・」

マナちゃんの視線の先のモニターには、幻の超獣とダンス・・・いや格闘をしているピンクの怪獣ちゃんの姿が映っていた。
今度は、リツコさんは心からの笑顔を見せていた。モニターの前に向かい、茶色のボタンに手をかける。

「ほんとにもう・・・しょうがないわね。」











怪獣マヤちょんは、焦りを覚えていた。超獣マナちゃんにはいかなる攻撃も通用しない。
しかし何故か超獣の方も攻撃をしかけてはこなかった。ただいたずらに時をかけていたのだ。

(わたしが巨大していられるのは、もう後わずかの筈。このままでは、だめね。)

超獣は芦ノ湖を背に立ったまま動かない。ピンクの怪獣は急に後方に走り出した。
マヤちょん逃げるのか・・・地球の平和は君にかかっているんだぞ!

「ちがいますぅ!」

いったん、ピンクの怪獣の姿は、超獣マナちゃんの前から消えた。あれっと首をかしげる超獣。
その時である、ピンクの怪獣の逃げた地平線のかなたから、爆音が聞こえてきた。
いつもの、きゅっぽ・・・きゅっぽ・・・という軽快な足音ではない。地を裂けんがごとしの爆音と共にピンクの怪獣が帰ってきた。

「これがぁ・・・最後のぉ・・・切り札ですぅ・・・」

走りながら、彼女は・・・いやピンクの怪獣は、手を横に広げた。
な・・・なんと、怪獣の脇にはN2爆弾が!それがモモンガの様に胴体と両手の間にはられた膜のような物にくっついている。
ピンクの怪獣マヤちょんが、ふわっと浮かび上がった。そのまま大空に高く舞い上がるピンクの怪獣。いや巨大モモンガか!

「レイちゃん直伝『わたしが死んでも変わりはいるの』フライング・ボディアタックですぅ!」

マヤちょん、決死のダイブ。ううう・・・涙無くしては見れない感動の瞬間が・・・

「・・・あっ・・・」

いままさに、怪獣マヤちょんが超獣マナちゃんに激突するその瞬間・・・

スウぅ・・・と超獣が忽然と消滅した。

「そんなぁ・・・いやあああああああああああああ・・・・・・・・・・・・・」











ドッカァ〜ン!!!


第三芦ノ湖にツングースカの隕石落下とも思われる大爆発がおこった。
その爆音は世界中で観測されたとも伝えられた・・・かもしんない程の衝撃だった。
なおその時、現地からそう遠くない温泉宿に軟派目的で滞在していた少年二人が、鼓膜の治療中の病院で語っている。

T.S.(男性15歳)の証言

「ええとこやったんや。めちゃ可愛い娘をこませたと思たんやけどなぁ。突然の爆音がしてなぁ・・・後は・・・後は・・・
なんもわからん。気がついたら・・・わての前には委員長が・・・なんでか知らんけど、頬がひりひりしとったけどな。
なんでやろ。その後しばらく委員長が、お昼の弁当を作ってくれへんのや・・・(中略)・・・わてが悪かったんや。かんにんしてくれ・・・
もう二度と浮気なマネはせんさかいに・・・なあ、ヒカリぃ・・・許してくれえ・・・あんな爆発さえ起こらなんだったら。」

K.A.(男性15歳)の証言

「いい気味なんだよ、彼女がいんのに俺よりモテようとするからだよ。だいたいさぁ・・・(中略)・・・あの爆発は、神の雷さ。
なんかさぁ・・・聞いた事のある、女の人の悲鳴が聞こえたんだよ。上手く言えないんだけどさぁ・・・地獄からの叫びというか。
それとこれだけは、聞いたんだよ・・・爆発のすぐ後に、おかしいよね。もう意識は失っている筈なのに、頭の中に飛び込んでたんだな。
なんだと思う?
『無様ね・・・ふふふ・・・でも可愛い子・・・』なんか頭から離れないんだよ、恐いんだよ。助けてくれよぉ。」

そして、あの爆心地で・・・第四芦ノ湖にプカプカ浮いているところを助け出された、女性はこう語っている。

M.I.(女性25歳)の証言

「なんにも覚えていないんです。確か・・・わたしは大好きな怪獣の着ぐるみを着て、大好きな先輩が変な事を始めたみたいだったんで、
わたしが先輩の為に用意した、隠れ家に火を吐いて脅かしてやろうと思っていたんだけどぉ・・・あれ、なんか変ね・・・あれれ・・・
思い出せないわ・・・頭が痛い・・・後はなんにも覚えていないの・・・ほんとうよ・・・あっ先輩ぃ・・・」










2016年○月△日、後世の記録に『第三芦ノ湖の謎の大爆発』と呼ばれたある事件の起きた一ヶ月後、
特務機関ネルフの解散が世間に発表された。その理由は表向きには謎とされたが、噂では大爆発事件の責任を取らされたと囁かれた。
ネルフの職員達は、新たな職場に就いたという・・・特にその中心人物といわれた彼等は・・・











「碇、時間だ・・・始業式が始まるぞ・・・」

「あああ・・・わかっている・・・ユイ、それじゃ行ってくるな・・・」

「ミサト、これから私達はあの子達の教師になるんだからね。頼むから授業中に酒なんて飲まないでね。」

「うっさいわね。職員室でしか飲まないわよ。あんたこそ理科の時間に怪しげな実験なんて始めないでよ。」

「葛城さん、俺嬉しいっす。またあなたと同じ職場で働けて、俺立派な先生になるっす!」

「俺の音楽の時間は、ハートに訴える激しいビートをみんなに伝えるぜ・・・エリック!俺の魂のギターを、あなたに捧げるぜ!」

「うるさいですぅ。もう・・・ぷんぷん・・・先輩ぃ、わたしにパソコンの講師が勤まるんでしょうか。不安ですぅ。がおお・・・」

「にぎやかだな、まったく。しかしこの俺が体育教師とはな、用務員のおじさんになって西瓜を育てたかったんだが。」

「天国のお母さん・・・僕も今日から高校生です。新しい友達が出来るといいなぁ・・・(おとなしくて可愛い女の子が・・・)」

「なんで天才少女のこのわたしが、いまさら高校に入学しなきゃなんないのよ・・・バカシンジが泣いて頼むからさぁ・・・仕方なく・・・」

「そんなに嫌なら、ドイツに帰ればいいじゃない。碇くんの事はわたしに任せて・・・今日からはキャラを変えるわよ・・・
ご主人様ぁ、やっほー!わたしレイちゃん。あなたのマイ・リトル・ドールよぉ!はや・・・機械がショートしたんですぅ。」

「なに、へっぽこロボットの真似してんのよ。極端なんだから・・・シンジ、わたしと普通の高校生らしい交際をしましょう。」

「やっとわたしの出番ね。碇くんが、図書室に来た時が勝負よ。お父さん・・・わたし頑張るわ!」

「ふんふんふん・・・あんな女の子達に、僕のシンジくんは渡さないさ。だいたいやっと出番をもらえたよ。これからは・・・(省略)」











「なんだよ・・・せっかくの僕の台詞を省略して・・・好意に値しないね。」

「どうでもいいけど、いつLRSを書くのよぉ・・・レイちゃん、怒っているんですよぉ。」


おしまい!











******後書き******

もうやる気をなくしたんじゃないかって、そんなことはないです。多分・・・
次回は、いよいよ作者待望のLRSですぅ。お楽しみに!!!
えっ、今回は伏せ字を使わないで、シュートな台詞が多かったって
僕わかんない・・・バァブー・・・感想メール待ってま〜す。柴レイでした。


柴レイさん、本当にありがとうございました!!

柴レイさんへの感想メールを!
fwje9785@mb.infoweb.ne.jp
までお願いします。


「綾波祭投稿作品」へ戻ります。